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詩乃さん あたふた
氷まくらを作って奈南がリカバリーに戻ると、未羽が床に嘔吐していた。
「大丈夫?未羽くんっ」
「ごめん…さい。吐いちゃった。でも、お布団汚さなかったよ」
「そっかそっか偉いね。気持ち悪くなっちゃったのに咄嗟に床にしてくれたんだね?未羽くんいい子」
未羽の頭をそっと撫でると、奈南は手洗い場へと走り紙タオルを吐物の上に撒き、上から次亜塩素酸を振りかけて、吐物処理し
「これで大丈夫。お片付け終わったよ」
「ありがとう」
「検温しようか?」
「うん」
「あーと…しまった。サチュレーション、ステーションに置きっぱなしだ。取りに行ってくるね?」
「うん。すぐ来る?」
「大丈夫だよ?寂しがりだね、未羽くん」
再度、奈南は未羽の頭に手を置き撫でるとステーションへと小走りで向かった。
ちょうどリカバリーから出ると、視線を感じ廊下を見ると佐渡と咳き込む紫藤がいて奈南は驚き
「コホ…っ」
「えーと?」
「今日の夜勤はハードそうだな?」
「あ、いえ…ちょっと未羽くんが熱発と嘔吐で寂しがっちゃってあたふたしているだけです」
「みぃが?」
「先生たち、どうしたんです?」
「ちょっと紫藤がな…見ての通りだ。喘息で苦しんでる」
「吸入薬は?」
「それが久しぶりの発作らしくてな」
「なら、ステロイドの点滴…」
「あー、なんて言うかだな…」
紫藤が佐渡を小突き
「俺は刺してあげられなかったから変わりにやってください。ちゃんと言ってください」
「う…はい。俺は刺してあげられなかった変わりにやってください」
「え」
注意して見ると紫藤の腕に絆創膏が3枚貼られていて、奈南は状況を理解した
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