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やっぱり師長さん
扉の前に立つ真尾の表情がまだ良くないのを心配しながら奈南は状況を説明し
「分かりました。いるはずのない人間がいたらびっくりしますよね?ごめんね?未羽くん」
「師長さん?どうしているの?」
「ちょっと頭が痛くて休んでました」
「大丈夫?」
「はい。でも、ちょっとまだ辛いので一緒に休んでもいいですか?」
「いいよ。隣入れてあげる。お布団ふかふか気持ちいいよ」
「ですね。ちょうどお布団交換の時期ですもんね」
未羽が開けてくれたベッドの隙間に真尾がもぐりこむと、未羽が真尾の服を摘み
「師長さん。ちかも泣いてる。ちんちん痛いんだって」
「じゃあ、千歌くんは詩乃にお願いしましょう。詩乃、千歌くんいいです?」
「はい」
千歌の元に奈南が行くと、次第に千歌は泣き止み笑い声が聞こえ始めた
その様子に佐渡は感心し
「すごいな…」
「闇雲に寝てる子に近づくからです。ただでさえ私たち医者は恐れられているんですから」
「すまん…」
「紫藤先生、点滴中にすみません。未羽くんのバイタルいいですか?」
「分かりました」
「紫藤先生、その点滴…体調よくない感じですか?」
「季節の変わり目だからでしょうね、ただの喘息なので心配には及びません。あなたこそ、頭痛は?あまり表情がよくありません」
「寝れば治ります」
「あなたも頑固そうですね?師長」
・
・
ピピピー
「39.2…ですか…。脱走なんてするから」
「ごめんなさい」
「いいえ。過ぎたことを持ち出してすみません」
「先生…未羽くんの熱、高いですけどどうします?」
「師長、まずはあなたの鎮痛剤の点滴しましょうか?楽になります」
「へ?僕?おおげさですし、やるなら未羽くんに、では?」
「コホン…刺し終わったら次は未羽に解熱剤の点滴」
真尾は目の前で紫藤が真尾に点滴を打って、大丈夫なのを見せつけてからやりたいんだなと感じとって頷き
「あ、そういうこと…じゃあお願いします」
「はい。準備してきます」
紫藤は準備のため、リカバリーから移動した
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