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宵と実 帰宅

ステーションへと急ぎ戻ってきた祖父江は休憩室に人影が無いのに気づき首を傾げた 宵…どこに? ステーション奥へと入っていくと処置ブースで物音が聞こえのぞくと、点滴に繋がれて吸入をしている紫藤とそれを心配そうに眺める佐渡の横顔が見えた 「佐渡…」 「え?あ、祖父江先生。涼木大雅の処置、済んだんですね?」 「ああ。でも、こちらの言うことを素直に聞くタイプには見えないから気にかけてやってくれ」 「分かりました」 「ところで、真尾師長の所在を知らないか?」 「あー、それならリカバリーでみぃ…遠野未羽って言う子と寝ていますよ」 「そうか。助かる。紫藤先生は大丈夫そうか?」 「点滴が終わったら付き添って帰るんで大丈夫ですよ」 「それはよかった。佐渡先生も疲れた顔をしているから気をつけて帰りなさい」 「ありがとうございます」 祖父江は佐渡と会話をし終えると、リカバリーの扉を開けた。 扉を開けると真尾の点滴が終わり、針をちょうど抜いたところの奈南と目が合い 「あ…先生、おかえりなさい」 「宵…アセリオを点滴したのか」 「寝れば治るって言い張ってましたけど、紫藤先生が未羽くんにスムーズにやれるように先に宵先輩に打たせてほしいってニュアンスで話し合いして打ってもらっていましたよ」 「そうか。よく寝ているな…起こすのはしのびないが…」 「別にこのままいてもらっても…」 「未羽くんも体調優れないんだろう?休まらないから宵は連れ帰るよ」 「分かりました」 「宵、宵…起きるよ」 「ん…んぅ…実継…さん?」 「点滴、終わった。帰ろう?」 「はい」 「気を付けて。起き上がって歩けるか?」 「大丈夫です。詩乃、お疲れさま。また明日」 「はい。先輩、気をつけて」 「ありがとう」 奈南は、寄り添って帰宅する2人の背を見送り、その仲の睦まじさにうらやましさを感じた。

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