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宵さん 少年棟へ

祖父江も知らない真尾の情報があることに奈南は驚き 「20年以上のお付き合いなのに知らないことってあるんですね、先生」 「縛らないといけないくらい手足が出てくるのが早いとは思っていたが…理由に納得だ」 「縛?!」 祖父江から出てきた言葉に奈南は目を見開き 「ちょ!宵先輩、本当に先生から大事にされてます?縛るなんてっ」 「大事にはされてますよ?イヤって言ってるのにすぐ縛ってきますけど…」 「可哀想…先輩。先生!」 「ちゃんと訳がある。宵の身を守るためだ」 「先輩を泣かせたらぼく、許しませんからね!」 「分かった。肝に銘じる」 少年棟の中へと入ると、西と東間が慌てて駆け寄り 「師長!どうしたんですか?」 「入院だそうです」 「また、石?」 「北斗、膀胱留置されていないから多分違うよ」 「じゃあなんだろう」 「今回は検査入院。詳しくはカルテを見てくれ。それと、不安がってるからケアを頼むな?」 祖父江からの説明に西と東間は頷き 「分かりました」 「ねぇ、東間。未羽くんと千歌くんは?」 「え?師長、今から入院するのに気にしなくても大丈夫ですよ?」 「僕は責任者です!知る必要も聞く権利もあります。事務作業は入院中でもやるつもりですからっ」 声を荒げて真尾が話すと、東間は祖父江をうかがい見 「無理の無い範囲内で。言い出したら聞かないタイプだから。それに、機嫌を損ねてエスケープでもされたら敵わん」 「分かりました。えと、じゃあ…みぃちゃんのお熱はまだ8.7度と高く、千歌ちゃんはマーゲンからの排液はあるんですが便の確認がまだとれていません。それと…バルンカテーテルが違和感あるみたいでご機嫌悪いですね」 「2人とも心配ですね。由宇くんと周防は?」 「南、周防って起きた?」 「ううん。眠りが深くてまだだよ。呼びかけると目は一瞬開けるけどまた寝ていっちゃう。佐久間先生は回復早くて微熱くらいの症状で経過してるけど…」 「そうですか…。詩乃、日勤から引き続いての夜勤おつかれさまでした。ゆっくり休んでくださいね?ここからは彼らに頼みますから」 「奈南、時間、超過させて悪かったな?おつかれ」 「はい、おつかれさまです。お先に失礼します」 奈南は一同に頭を下げ、退勤した。

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