827 / 1208
待ち伏せ
奈南は退勤後、病院から出ると自分のマンションがある方向とは反対方向に慣れた足取りで歩き出した。
「夕べは…っと言うかここんとこずっとだけど登校ギリギリまで大学生くんのとこに行っていたんだろうから帰ってきてるか、もうすぐか…ってところかな?」
目的地は涼木大雅の部屋…と、言うか実家。
ぼくに襲われるのが嫌でぼくのマンションに来るとは思えないから、待ち伏せてやる。
数分程歩くと涼木の表札の前にたどり着き、奈南は呼び鈴を押した。
押してすぐに大雅の母親が何も知らぬ顔で招き入れてくれ、大雅の母親は愛想良く笑った
「大雅ったらごめんなさいね?お友達のところに行っていて。もう帰るって連絡がさっきあったからそろそろ帰ってくるんじゃないかしら?何もお構いできませんけどゆっくりしていってね?詩乃くん」
「いつもありがとうございます。おばさま。ちょっと大雅とケンカしているんでドタバタするかもしれませんけど気にしないでくださいね?」
「まあ、そうなの?先輩とケンカだなんて大雅ったら…ご迷惑をおかけして…」
「いえいえ。こちらこそ押しかけてごめんなさい。ケンカしたままなのはモヤモヤしちゃって」
これで多少、バトルしても問題なし
早く帰ってきなさい、大雅
奈南は涼木の母からもらった麦茶をすすりながら、涼木の帰りを待ち伏せた。
ともだちにシェアしよう!