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甘いコーヒー
連れてこられたのは明の職場近くの10階建てマンションの10階角部屋
「ここが今の俺の家。詩乃と住むつもりで帰国前に買った。だいぶ古くなっているけど綺麗にはしているから詩乃も気にいるよ。おいで」
「うん…」
手を引かれて、リビングへと来るとそのまま寝れそうな程大きな真っ赤なソファが目についた
「座りなさい。コーヒーはミルク無しで飲めるようになった?」
詩乃は首を横に振った。
「ミルク2つにお砂糖1つのまま?」
「うん、そのまま」
「変わらないね?詩乃。甘いコーヒーが好きだったね?今、作ってあげるから待っていなさい」
「はい」
詩乃は指示通り、待った。
きちんと整理された綺麗な広い部屋には明さん以外の人の気配を感じない…
1人で住むには広すぎるその空間は明さんがさっき言っていたようにぼくが来ることを想定して広めの場所を選んだんだろうだろうな…
嬉しさを感じる反面、申し訳なさを詩乃は感じた。
「詩乃、お待たせ。熱いよ」
「ありがとうございます、明さん」
詩乃はゆっくりと口をつけた…
「おいしい…」
「そう?それはよかった」
飲み始めて5分もすると…詩乃はあくびをしだした
「ふぁ…ごめっ…夜勤明けで…」
「そう?疲れているんだね、詩乃。いいよ、そのままお眠り」
詩乃はコップを机に置き、ソファに体を預けて眠りだした
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