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入院中だけど師長さん
半強制的に入院させられた宵は夕方になってもグズっていた。
「帰りたい…っぅ…ぐす…」
「師長、数日のことだから頑張りましょう?」
「もう、がんばってます…っ…東間はがんばってないって言いたいの…っ?」
「ち、違いますよ!頑張ってます。頑張ってますから。もっと頑張れます」
「祖父江先生呼んでください〜」
「祖父江先生呼んでどうするんですか」
「どうでもいいですーっ」
「困ったさんになってるし…師長、薬飲めます?」
「いらないぃ」
ガラっー
「師長、ちょっといいです?」
入ってきた紫藤に東間は視線を移し
「紫藤先生、どうされたんです?」
「佐渡副長がご指名です」
「?」
「やだ。行きません」
「未羽の熱が上がってます。局長も私も受け付けない感じで診せてくれないのであなたの力が必要です」
「未羽くんが?」
「そうです。来てください」
紫藤が手を差しのばすと、宵はその手を掴み
「分かりました」
「師長の顔に戻りましたね。よかった」
紫藤は手を引っ張り宵を立たせるとそのままリカバリーへ宵を引っ張っていった
「病棟に来るのが遅くなってしまってすみません。記録によると相当ご機嫌悪かったようですが大丈夫です?」
「大丈夫くないです…」
「結構、頑固ですね」
「よく言われます」
「祖父江先生と…あの、付き合い長いんですか?」
「…え。う、うん。22年…かな」
「そんなに!?ベテラン夫婦…ですね」
「驚きますよね?」
「あ、いえ…私にも付き合って間もないですけど…そういう間柄の方がいるので…」
「そうなの?」
やや照れた表情を見せる紫藤に宵は、人間味のあるところもあるんだと微笑ましい気持ちになった
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