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ようやく朝
涼木の長い夜はようやく明けようとしていた。
「涼木、おはよう」
早番で出勤してきた東間はにこやかに笑い、涼木に明るく挨拶をした。
その朝から元気な様子の東間に涼木は不思議そうな顔をして挨拶を返し
「おはようございます。東間先輩」
「あれ?なんか疲れきってる感じ?」
「先輩は朝から元気ですね…」
「そりゃあ、昨日しっかりとリフレッシュしたからね」
「早番なんてゲンナリするだけなのにすごいですね」
「あと少しであがりなんだから頑張れ?みぃちゃんと千歌ちゃんは自分が対応するから」
「分かりました」
東間と別れて業務にあたっているとにぎやかな人が食堂へとやってきた
「おっはよーさんっ」
「周防先輩…入院中ですよね?耳が痛くなるくらいの声で挨拶しなくても…」
「涼木くん、あかーん。暗い暗い暗いで?看護師さんはニコ〜っとしとらなな?」
「周防先輩、日勤者来たらインフル再検査ですよ?」
「っんな!なんでやねんっ陰性やったんやろ」
「いや、だって記録に書いてあったし」
「聞いてへん」
「じゃあ、いま言った」
「いやや」
「俺に言われても…」
「俺、再検査なら涼木くんもやんなぁ?涼木くんこそ大丈夫なん?昨日、鼻血ぶーしたやん?」
「たぶんもう大丈夫です。もっと痛いこと経験したし…」
「なんなん?それ」
「内緒です。先輩、尿管結石の仙痛発作の方がインフル検査より辛くないですか?」
「んー…せやな。痛みで言ったら仙痛発作のが上やな。でも、場所が違うやん?痛み方もちゃう。別問題やで」
「ですか…」
「あー…いややな」
「すぐですよ、すぐ」
涼木と雅宗が話していると実継が現れ
「よ。2人ともおはよう。何を仲良く話している?」
「うわっ来たで!涼木くん」
「そこまで慌てなくても…おはようございます。先生。小児科はいいんですか?」
「ああ。少年棟がピンチだからしばらく出向することになったから大丈夫だ。それはそうと涼木、腰は問題ないか?」
「なっな…っ」
実継の言葉に涼木は顔面を真っ赤にして慌てた
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