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うた インフルテスト
窓の外を立って見ていたうたは、突然入ってきたマスク姿の瀬谷と祖父江に気付き後ずさった
「な、何?今日注射の日じゃないよ?瀬谷先生と誰?知らない人がいる」
「注射をしにきたんじゃない。うた、ベッドに横になってくれるかい?こっちはもともと少年棟の医師で現在小児科の祖父江先生。ピンチヒッターで少年棟にしばらくいるよ」
「検査をしにきたからよろしく」
「検査?なんの検査?おしりはやだよ?」
「おしりじゃない。いいかい?鼻にコレを入れて鼻水の検査をするんだ」
「うん。ほっそい綿棒…寝ればいいの?」
「そう。仰向けに」
「うた、ベッドにちょっと乗るぞ」
祖父江はベッドに乗りうたの頭を太ももで挟んで固定し
「うん?何これ?」
「ちょっと足の上を失礼させてもらうよ」
瀬谷が足の上に乗ってくるとうろたえ
「え…な…なんか固定されてる気が、、」
「ごめんよ〜」
瀬谷は謝りながらうたの鼻に遠慮なしに綿棒を突っ込み
「んーーっっ!!やだっちょ!どこまで突っ込んでんの!?」
うたは痛さに叫んだ。
「はい、もう1回」
終わったと思ったら反対をやられ、うたはじわじわと涙を浮かべ、咳をし
「うーーっんぁっっいったぁーい!!コホっコホっ…う〜っ…涙出た」
「痛かったな?」
瀬谷が床へ降りると、祖父江はうたを抱き起こして背中を撫で
「よしよし、よく頑張った。おしまいだ」
「う…ぅー…痛かったぁっ」
うたは祖父江に抱きつきしばらく甘え、瀬谷は微笑んでそれを見守った。
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