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うた、祖父江を離さない

「さてと…問題は沙和だね」 部屋から出ようとする瀬谷を実継は呼び止め 「ちょーっと、待ってくれるか?瀬谷。悪いがまだ行けそうに無い。うたが服の袖を握り込んで離そうとしない。離してくれるか?」 「イヤっ」 「困ったな…」 「そうか。懐かれたね、祖父江」 「悠長に言ってる場合か?」 「周防の検査が済み次第、東間と西にでも押さえてもらって検査するよ。と、言うわけでうたのアフターを頼めるかい?祖父江」 「この子、何を喜ぶ?」 「んー…あまり情報が無いんだよね。涼木がよく抱っこしているのを見かけるから抱っこは好きなんだろうけどね」 瀬谷から聞こえた涼木の声にうたは涙ぐみ 「たいがぁーっ」 「あーあ…スイッチが入ったな。悪いな。涼木は明けで帰ったから俺で手を打ってくれ。ちなみに前立腺のチェックは誰がしてる?」 「佐渡だね。けど、彼はカルテに必要最低限しか書かずにあまり情報を残さないから詳細は分からない。バイブ刺激はしているようだがね」 「そうか…了解した」 「たいが…、ぐすっ」 「よしよし。涼木は明後日また来るから我慢な?」 「う…うん。ぎゅ、して?」 「はいはい、ぎゅ」 実継はうたと向かい合わせの状態できつくハグをし、瀬谷に手を振った

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