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さーちゃん、帰宅をたくらむ
病棟のバタついた雰囲気を察した沙和は危機感を覚え、扉に背を向けていそいそとリュックに荷物を詰めこんでいた。
沙和が荷造りをしているとは知らずに入ってきた瀬谷•東間•西の3人は沙和のしている行動を見て顔を見合わせて苦笑し、ひと息つくと瀬谷が口を開いた。
「ふー…沙和〜?きみは何をしているのかな?遠足の準備かい?」
夢中で荷造りをしていた沙和は突然の瀬谷の声に驚きビクンと肩を揺らして振り返り、瀬谷と目が合うと舌を出しあっかんべをし再び背中を向けて荷造りを始めた
「南、さーちゃんあっかんべしたぞ」
「だね。ご機嫌悪そうだね」
「沙ー和!」
沙和はホワイトボードを掴み殴り書くと、ポイっとボードを瀬谷に投げた。
投げられたボードを手に取り見ると
〝かえる!〝
と、でかでかと書かれていて瀬谷はホワイトボードの文字を指で消し、ベッドに乗せ
「帰るって…。悪いがまだ帰れないよ。沙和にはまだ入院が必要だからもう少し辛抱な?」
「先生、さーちゃんエッチなことしたすぎて帰宅したくなっちゃった感じですかね?」
「それは分からないが…」
「あ!さーちゃん。それは病院の備品っ。盗んじゃだめだぞ」
北斗が叫ぶと沙和はリュックの中に1度入れたローションボトルを取り出しベッドに転がした
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