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あめちゃん
「ぐす…っう…いつ退院するの?」
「それは分かんないや」
「早く帰ってきて…お願い」
「…んー…帰るとすぐにブジーだけどいい?」
「え…えと?」
「この間見せたろ?銀色の棒」
「やりたくない…。けど、帰ってきてほしい」
「俺だってやりたくないけどさ、おしり触んの嫌がるじゃん。しょうがないの」
「やだ」
「ったく…どうするかはまた考えるとして…熱が下がるといいな?ケガもしてるし大事にな?」
「うん…。じゃあ俺は戻るから」
由宇は椅子から立ち上がり扉の方へと歩き、由宇の背中を泣きそうになりながら未羽は見つめ
「…っ」
「あ…」
由宇は振り返り、病衣の内ポケットからポーチを取り出し中から飴をふたつ掴み
「ほら」
未羽に向かって投げ、未羽はそれをキャッチし
「あ…飴?」
「やる。ステーションに残りを預けとくからまたもらいな」
「うん…ありがと、先生。また来てくれる?」
「んー…なんとも。行くつもりではいるけどいつ熱がまた出るか分かんないから安易に約束できないんだよな。悪い」
「分かった。またね、先生」
「うん」
未羽は泣き止み大事そうに飴を手に持ち、反対の手でリカバリールームから出ていく由宇に手を振った
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