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さーちゃん 暴れん坊
観察室の近くまで来ると騒がしくなってきた
「そっち、押さえてくれるかな?」
「はい」
西は沙和の足を曲げさせて押さえ、押さえられた沙和は嫌がり声をあげた
「やーーっっ」
「や、じゃないの!もっぺんおしり叩く?」
「んやぁーっ」
「せ、先輩…興奮させないで」
「部屋に入っても諦めないとかある意味感心するよ。ほら、おしりにお薬挿れるんだからちゃんとして!沙和ちゃんっ」
「あーっっ!えいっっ」
ビョーンと沙和は伸びをするように西の腹を蹴り
「ぐぇっいってぇ腹蹴られた」
「大丈夫?北斗」
「いや、もろ急所入った。すみませんっ押さえなおします」
西は体全体を使ってのしかかるように沙和を押さえこみ、麻弥は目を吊り上げて怒り
「こらっっ」
パーンっ
手を振り上げて沙和のおしりを叩いた
「んぎゃっ」
「たく…っ。本当悪い子。使わないって言ってたけどさ、鎮静かけよう?用意してくれる?看護師さん」
「あ、はい。えと…じゃあ坐薬を」
「ん、受け取った」
ステーションへと東間が走ると実継とすれ違い
「どうした?」
「鎮静かけるそうです」
「暴れん坊か?」
「ですね」
「おつかれ」
コンー…
「瀬谷、てんやわんやの時に悪い。佐渡、早退したから」
「早退?体調不良か?」
「いや、佐渡は大丈夫だ。どうも紫藤がよくないらしい」
「そうか、分かった」
「鎮静剤打つのか?」
「そうだね。ちっともおとなしくならないから仕方ないね」
「手がいるか?」
「いや、問題ない。他の子を頼むよ」
「了解」
実継は頷き、観察室から出ていった
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