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雫、宵が心配

バットに注射器を乗せ、宵の部屋へと向かっている最中、雫は実継に尋ねた。 「実継さん」 「ん?」 「宵さん注射、暴れますかね?」 「そんな体力無いと思うぞ」 「雅宗ならたぶん泣きますけど、宵さんはどうだろう?」 「んー…ご機嫌は悪くなるだろうな。あまり解熱のために筋注することはなくなったが本人が坐薬を拒否するからな」 「内服じゃ、ダメなんです?」 「ダメなことは無いが…熱が高いし、体の痛みも強いようだから。あと、宵の場合は嘔吐する可能性があるんだよな」 「じゃ食事は?」 「おかゆかゼリーくらいにした方がいいだろうな。食欲も無いだろうしな。無理に食べさせて嘔吐するよりいい」 「ですね。宵さんって頭痛は?」 「まだ続いている。明日、10時に精査予定だ」 「明日!?インフル治るまで様子見とかじゃないんですね」 「本当は今日、朝いちに本院の検査室に行って実施の予定だったが、感染対策でこっちでやることになった」 「じゃあ、向こうから医師が来る感じで?」 「いや…。処置2で俺がやる」 「え…。大丈夫なんですか?」 「やむを得ない。普段、子どもにはしてるしな」 「それって俺、そばについててあげても?」 「夜勤明けだろう?辛くならないか?」 「大丈夫ですよ」 「あまり疲れを残さないようにな?抵抗力落ちるとインフルエンザに感染するか、感染しなくてもダウンするぞ」 「ですね、用心します」 2人は宵の部屋にたどりつき、中へと入っていった

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