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あたたかな気分

その日の晩、紫藤もいなくて時間潰しに困った佐渡は町内のデパートに寄った。 普段なら2人で仲良く夕食を作るが1人だとそういう気分にもなれず適当にお惣菜を買い、フラフラとしばらくデパート内を巡り、ゲームセンターの前を通ると見知った人物の後ろ姿が見えた。瀬谷先生だ。手に持つ袋の中にいくつか戦利品が入っているのが見える。 一緒にいるのは今朝応援に来たナース、理央と幼稚園生くらいの子ども。あの子が瀬谷先生の子か? 本当に一緒に暮らしているのか 邪魔しちゃ悪いかと感じ佐渡はそっと過ぎ去ろうとしたが理央に気づかれた。 「あ、佐渡先生」 「え…えと、こんばんは」 「佐渡?奇遇だね」 「瀬谷先生おつかれさまです。クレーンゲーム、ですか?」 「そう、新しい景品が出たからね」 「おとーさん、だぁれ?」 「おとーさんの会社の人だよ。紫苑」 「こんにちは」 「えらいね?あいさつできるんだ?」 「紫苑、えらい?おとーさん」 「うん。えらいよ。紫苑」 「へへ。ふぁーあ。なんだかねむたくなっちゃった。りおくん抱っこー」 「はいはい、よいしょと」 理央は紫苑を抱っこすると佐渡に頭を下げた。 「佐渡、また明日職場で。おつかれ」 「はい。おやすみなさい」 「おやすみ」 佐渡はその場を後にするとほっこりした気分を味わった。 いいな…ああいうの。 縁がママの真似事…なんてしてくれないだろうけど、つい想像したら…なんだかとても幸せになった

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