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おやすみ

宵が同意書に名前を書いたことを聞いた実継は終業を過ぎてはいたが急いで宵の元へと向かった。 「宵っ」 急に開いた扉の音に驚いた宵はビクッと肩を揺らし 「な…っあ、実継さん」 「ごめん、驚かせたか?」 「もう帰ってしまったかと…」 「おやすみも言わずに帰るわけないだろ?」 「だって、さっき怒っていたから…今日はもう寄ってくれないと思ってました」 「いくら怒っていてもあいさつは必ずする。もしそれが最後だったら どうするんだ?」 「え…そんなこと考えたこともないです」 「人間何があるか分からない。行ってきますって言ったまま……って人もいないわけじゃない」 「悲しいです。そんなの」 「そう悲しい。だからいつも別れ際はこれが最後と思って別れを惜しまないとな?」 「実継さんって優しいとは思ってはいましたけどセンチメンタルだったんですね?」 「そうかもしれんな。それはそうと…宵。偉かったな」 「え…?」 「同意書。東間と西が見せてくれた。頑張って書いたんだなって言うのが分かったぞ、宵」 「うん。旅行してきていいって」 「2人に了解を得たのか?」 「はい」 「仕事が早いな?宵」 「ふふ。だって楽しみです」 「そっかそっかよかったな?今夜はよく寝るんだぞ?」 実継は宵を抱きしめて額に口付け、口付けられた宵は戸惑い 「う…うー…それはうんって言えないかも…です」 「薬の力を頼ってもいいから寝るんだ。いい?」 「分かりました。おやすみなさい、実継さん」 「ああ、おやすみ。明日あさイチで来る」 「待ってます」 再度、額に口付けると実継は宵の頭を撫で部屋から出ていった。

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