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紫藤 折れる

捨てられた子猫のような目で見つめてくる宵に紫藤は折れ、ため息をつきながらベッドのすみに移動し、布団を開いて宵のためにスペースを作り 「はあ…仕方ありませんね。分かりました。みんなには内緒です」 宵と寝ることを決めた。 「紫藤先生…っ」 宵が嬉しくて紫藤に抱きつくと、紫藤は驚いて目を見開き 「え…えと…」 「む…。紫藤先生、なんで抱きしめ返してくれないんですか!」 「なんで…って…言われましても…」 「抱きしめ返してくださいぃ」 「あなたって…マイペースですね?」 「ん?」 「いいえ…なんでも」 紫藤は宵のペースにはまり、抱きしめ返し 「これで満足ですか?」 「うん」 「たしか…ひとまわりは私より年上だったかと思いますが?年齢合ってます?」 「合ってます」 宵は満足してベッドにあがり、布団にもぐりこむといつも実継にするように紫藤に体を擦り合わせた。 「なっ…な…何を」 「トントンしてください」 「は?」 「トントン。してくれないと眠れません」 「…」 一応、年上だから怒れません…困りました。 愚図られてもさらに困るので言うことを聞いておいたほうが良さそうですね。 「分かりました…」 しぶしぶ紫藤がトントンと宵の胸を叩くと宵は紫藤を見上げ 「おやすみなさい、先生」 「はい。おやすみなさい」 祖父江先生と師長は随分と甘々な夜を毎日お過ごしのようで… 師長が甘えん坊なのか…祖父江先生が甘やかしすぎなのか……両方ですかね? しばらく考えていると宵からスースー寝息が聞こえ紫藤が宵から手を離そうとすると宵がむずがり 「んん…っ」 仕方なく宵の胸に手を置いたまま紫藤は寝る体勢に入った

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