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内緒

紫藤が寝る体勢に入ったころ、ひかえめに扉が叩かれる音がし時計を見ると消灯見回りがそろそろの時間で紫藤は扉に視線を移した。 扉が開くと雫が顔をのぞかせ部屋の中を見るなり驚いた表情をし 「あ…っ宵さん…こんなところに…っ!」 やや大きな声を雫が出したため、紫藤は慌てて口に人差し指をあて 「しっ」 雫に静かにするように示した。 「え…」 「ようやく寝たところなんです。随分と甘えたさんのようで困りました。起きられると面倒です。だから静かに」 「すみません。けど、なんでこんなことに?」 「知りません。祖父江先生が日頃甘やかした結果では?」 「どうしようかな…宵さん、このまま朝までいる気かな」 「師長のことをファーストネームで?」 「え…あ…ちょっとプライベートで交流があるんでつい」 「仲がよろしいようで…」 「しかし意外です。紫藤先生が添い寝させてあげるなんて…」 「内緒です。あそこまでおねだりされたら突っぱねることはできませんから」 「えー…なんで内緒?紫藤先生がこんなに優しいの知ったら…」 「内緒!師長が寝てくれないと困るのはあなたでは?」 「う…ですね。分かりました。師長をお願いします」 「はい」 紫藤はぷいっと雫から視線をそらし、寝る体勢を再びとった。

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