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詩乃、まわりが見えない

詩乃は充電を待つ間、体操座りをして充電中の赤いランプをにらみ、明日の仕事が気のりせず浮かない顔をしていた。 そんな沈んだ様子の詩乃が心配になり明は詩乃の顔をのぞきこみ尋ねた。 「詩乃?どうした?」 「行きたくないな…」 「ん?」 「明日の仕事に行きたくない。おやすみしたい。明さんの側にいたい」 「詩乃、何を言っているの?さっき言った通り仕事はしないと駄目。だいたいなんて言って休むつもり?」 「それは…病気になったとか…」 「嘘はよくない」 「明さんはぼくと一緒にいたくないの?行方をくらましたぼくが悪いけど、約20年ぶりだよ?!」 「うん、気持ちは分かる。でも、社会人なんだから果たさないといけない義務があるのは分かるよね?」 「分かる…分かるけど…でも」 「詩乃。いつの間にそんな聞き分けのない人間になったの?」 「え…」 「俺の知る詩乃はそうじゃなかった」 明さん…怒ってる?なんで? 「一緒にいたい、離れたくないって思ったらダメなの?あの時、ぼくは選択を間違えてしまったからもう間違えたくないです!」 「詩乃。悪い子になったね」 「ぼく…悪い子……?」 「そうだよ。看護師の先輩として俺は怒らせてもらう」 冷たい明の口調に詩乃は混乱した。

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