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おしおき

慣らされていないそこに無理矢理固い物体を挿れられて辛くて詩乃は握り拳をつくって耐えた。 痛い…っ痛い、明さんっ 「ん゛んっ…っ」 「痛い?俺も心が痛いよ、詩乃」 「じゃあなんで…」 「分かってくれないか…。俺に再会して嬉しいのか詩乃、まわりが見えていないよね?」 「明さんは嬉しくないんですか…っ?」 「嬉しいよ。もう離さないっていう気持ちは俺も同じ」 「ならなんで一緒にいようって言ってくれない?」 「詩乃、俺たちは子どもじゃないんだ。社会人としての務めがある。仕事のために生きているわけではないけど、仕事と私生活がそれぞれ均衡してはじめて1人前。それにナイチンゲール誓詞にもあったよね?」 「は?どうしてナイチンゲール誓詞?」 意味不明です。看護教員だから? 随分前過ぎて忘れたけど、学生のときにロウソクを持って唱和した覚えが…。 「忘れちゃったかな?詩乃。我がつとめを忠実に尽くさんってところと我が手に託されたる人々の幸のために身を捧げんっていうところがあったよね?そのときの気持ちを思い出して、詩乃」 これから病院実習がはじまるっていう少し前にやった式典。 患者さんのために頑張ろうってみんなで誓った気が…。 「みんな待ってるよ、詩乃が出勤してくるの」 でも、そんなの関係ない。 看護師である前にぼくは奈南詩乃っていう1人の人間なんだから。 「でも、やだーっ。明さんと離れたくないですっ」 明の説得が小難しく感じ、詩乃の耳には入らず詩乃はわがままを続けた。

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