1080 / 1209
むー、逃走
「逃げるな言われてそのまま待っとるわけないやん。隠れたろ」
雅宗はそーっと部屋から抜け出し、器材庫へと向かった
「さすがに同じところに隠れとるとは思わんやろ」
雅宗は器材庫の中に隠れ、うたた寝を始めた。
そんなこととは知らない雫は、応援に来た泌尿器科医師、白鷺時雨 を雅宗の部屋へと誘導していた。
「…と、いうわけでステントの閉塞が疑わしいとは思うんで、1度診ていただきたく…それにしても出勤が早くて助かります」
「後輩んとこの病棟がピンチみたいだから掛けつけないわけにはな。麻弥の話だと、手がかかる子ばかりのようだし。その子はどんな子だ」
「あー、それが…子じゃないんです。うちの職員で周防雅宗。35歳になるんですけど痛みにめちゃくちゃ弱くて…。口が悪いんでちょーっと扱いが面倒かもです」
説明しながら病室の扉を雫は開け
「ほぉ、その雅宗は透明人間か?」
「はい?」
「姿が見えん」
「なっ!逃げんなって言っておいたのにっ。すみません!白鷺先生」
「ふーん…灸 でもすえてやらんといかんな。来るの分かってて逃走って…」
「本当すみませんっ。探します」
慌てる雫と苦笑する白鷺はそれぞれ雅宗を探しに向かった
ともだちにシェアしよう!