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無事、おわり

ハグを求める宵を実継は抱きしめ、そっと体を宵から離し 「宵はいまインフル感染中だし本当は抱きしめ合うのはよくないんだけどな?」 「知ってます。だから、実継さんがもし感染したら責任もって僕が看病します」 「分かった。頼りにしてるからそろそろ検査させてもらっていいか?」 「…はい。分かりました」 ようやく検査をする気になり、宵はベッドに横を向いて寝 「よし、いい子だ。ガウン着るからちょっと待っていてくれよ、宵」 「うん、待ってます」 帽子とガウンを装着しだした実継の後ろに雫はまわり込み 「先生。ガウンの後ろのヒモ結びますね」 「ありがとう」 実継が支度をしている間に奈南と白鷺は宵の体勢を整え 「俺が体勢のキープをする。大人だし暴れはしないだろうが…一応な」 「ありがとうございます。いくら華奢(きゃしゃ)な宵先輩といえど、本気で暴れられたら抑えきれる自信なかったんで助かります」 「礼には及ばない」 「宵先輩、先生が役割交代してくれたから先輩の手を握っててもいいですか?」 「うん、詩乃ありがとう」 …… 宵が検査を行うことに対してやる気を見せたことで検査はトラブルもなく順調に進み、宵の腰から穿刺針が抜かれ宵は仰向けに寝かせられた。 「宵、説明しなくてもすでに熟知しているだろうが、髄液検査後に頭を起こすと低髄圧症になってひどい頭痛がおきる可能性が高いから頭を起こすなよ?」 「はい。大丈夫です」 無事に検査が終わった安堵感で宵は柔らかな笑みを浮かべ、頷いた

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