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お灸
「11時30分…。昼休憩までまだ30分あるね」
時計に視線を移し、瀬谷は涼木の腰元に手を添え
「行こうか?大雅」
「うわ…っへ…?行くって……どこに」
「分かっているだろう?悪い子にはお灸をすえてやらないとね」
「…げ……」
涼木は不快の表情を隠せず苦い表情を浮かべ、そーっと足を後ろにずらし逃げようとし
「え…えーと…俺、用事が……」
「何?」
「あ、あの…だから、その…未羽くんの体拭きが…」
「あー…それは大事だね」
瀬谷のその返事に涼木は内心ガッツポーズをし
「じゃあ、そういうことなんで俺は行き……」
「理央〜。おいで」
センターテーブルでカルテ入力をしている理央を瀬谷は呼びつけ、呼ばれた理央はすぐさま瀬谷の元に走り寄り
「すーさん、なぁに?」
「リカバリにいる未羽くんの体拭きを彼の変わりに頼むよ。俺はこの子に指導をしなければならない」
話し終えると瀬谷は涼木の腰をガシッと抱き寄せ
「ね?大雅」
「ひぃ…っ」
「いいなぁ…。すーさんとマンツーマン」
「はは。うらやましいかい?理央」
「うん」
「じゃあ家に帰ったらたくさん可愛いがってあげうね。紫苑を寝かしつけて待っててもらおうか?」
「はい。待ってます!」
満面の笑みを浮かべて理央は体拭きの支度を始めた
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