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照れる詩乃さん
涼木が注文をしているのを待つ間、奈南は席に座り弁当箱の包みを開けて見。
そして、その中身に目を輝かせた
「わぁ…っ、明さんの甘いだし巻き卵とたこさんウインナ!サンドイッチは今朝のとちょっと具材が違うし、すごいです。嬉しい」
目を細め、奈南ははにかんだ笑みを浮かべると、湧き上がる幸福感に目を潤ませ
(明さん…っ。終業が待ち遠しいです。美味しかったって早く抱きつきたい。)
奈南がしあわせに浸っていると、コトンとテーブルの上にコップが置かれ奈南は我に帰り音の方向を見上げ
「お、おかえり」
「はい、ただいまです詩乃さん。水どうぞ」
「あ……。ありがと」
どうしよう、、ぼく…たぶん今すっごくおかしな顔してる
(恥ずかしい……かも)
頬を赤らめウルウル目の奈南がそわそわしているのに気づいた涼木は不思議そうに奈南を眺めながら奈南の向かいの席に座り
(詩乃さん…??どうしたんだ、いったい。なんか、なんていうか…えっちぃ表情。可愛い)
「えと…、先輩?なんかありました?その…この間、中途半端だったからムラムラ中だったり?」
「ばか」
検討違いな涼木の言葉に奈南は口を尖らせ、ぷっとむくれた顔をし
「そんなんじゃないです。とっくにそんなものは解消してもらって、しあわせを感じているだけだもん」
「え?そ、それって…っまさか」
(行きずりの相手とあの後、致しちゃった系?!)
「せ、先輩っ。申し訳ないっす。俺のせいでそんな…っそんな!」
「はい?えと…大雅くん?何か勘違いしていませんか?」
「え?」
「何を考えたのか分かんないですけど、明さんですよ?だから、きみが謝る必要ないよ。むしろごめんなさいしなきゃいけないのはぼくの方。せっかく背中を押してくれたのにあの日はごめんね」
「め…いって、、それって。それは…つまり?」
「うん。おかげさまでぼく、明さんと復縁できたんです。このお弁当も明さんが…。だからぼくはきみにお礼をしなきゃなんです」
奈南は照れた顔をし、涼木に対し頭を下げ礼をした。
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