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約束
突然の詩乃からの報告に涼木は目を白黒させ、落ち着きを取り戻そうと買ってきたからあげ定食を頬張り、食べ始めた涼木を見て奈南も食べだし、明の手料理の美味しさに奈南の表情が緩み可愛いらしい笑顔を見せられた涼木はあんぐりと奈南を見つめ
ま、まじか…こんな喜んでいる詩乃さん初めて見た。
しかし、すごい急展開…。詩乃さん。
確かに俺、あの日にもう一度会った方が…とは言ったけど、、、
(この3日間でいったい何が!行動力すごいって)
驚きを隠せない涼木はテーブルに両手をつき、くいぎみに奈南の顔を見つめ
「えと、その…っとりあえずおめでとうございますですね!!ちなみにどうしたらそういう状況に…?あの、詳細教えてほしいです!」
「…!」
大雅、驚きすぎ!
おめでとう言ってくれたのは嬉しいけど、圧が怖っ
「え…と、あり…がとう?詳細…というか、明さんが師長のお見舞いにちょうど来ていたんです。それでトントン拍子に」
「あー、なるほど。それでタイミングよく再会できたんですね?それだけでなく復縁にまでもっていっちゃうなんて!なんか、すごいな」
「うん。嫌いで別れたわけじゃないからね」
「そっかぁ、そうですよね」
あー、なんか妬けるな。
詩乃さん…。俺とは当然さよならだよな。
けしかけたのは俺だけど、なんかさみしいかも
今さら恋人にしとけばよかった。なんていくらなんでも虫がいい話だけどさ
大事なものって失ってから気づくもんなんだよな
涼木がうだうだと考えながら食べている間も奈南はニコニコ笑顔のまま食事を進め、終わりが見えてきたころ、涼木が顔を歪めることを奈南は口にした。
「それでね、明さんが大雅とのお付き合いはそのままでいいよって言ってくれたんです。後、大雅の慢性前立腺炎の治療に協力してくれるって!それだけでなくて、ぼくに大雅の抱き方を教えてくれるって約束してくれました。明さんって優しいですよねっ」
「はい!?何を言って」
「ぼく、楽しみにしてます」
「ま、待って?約束ってそれって決定事項なの?」
「はい。明さん、嘘はつかないですから」
「ちょ…っ俺は!」
(ネコじゃないって!!)
しかも、指導されながら抱かれるって?
冗談じゃないっ
涼木が断りを入れようとすると奈南のPHSが鳴り、奈南は人差し指を立てて涼木に〝シー〝とジェスチャーを送り
「はい、奈南です。え……分かりました。
意識は?じゃあ、塩分タブレット舐めさせて誰でも、いいから先生をつかまえて。ぼくも今、向かいます!再度吐くかもしれないから誤嚥 に注意で」
ガタンと音を立てて立ち上がり、弁当箱を片付けると奈南は涼木を見
「少年棟に戻るよ!」
颯爽と歩きだす奈南の姿に涼木は慌てておぼんを持ち返却口に戻しに走ると奈南の背を追いかけた。
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