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低ナトリウム

(な、なんなん?由宇くんの体に何が起こっとんねん?どうしてこんないきなり) 周防はバクバクと鳴る心臓を押さえ、状況把握(はあく)に苦しみ、転がるペットボトルに目を落とし (こ…これって、、空のペットボトル…やんな。まさかと思うけど、一気飲みしたん?!) 「由宇くん!由宇っっ!!俺の声、聞こえとるっ?自分、茶ぁ一気飲みしはった?」 「……はぁっ、はぁ…ん」 由宇は荒く息を繰り返し頷くと、周防は点滴のついた手で自分の額を触り気持ちを落ち着かせ 「わーぉ。やってもうたな…。周防さんびっくりやで。でも、まあ…意識あってよかったわ。大丈夫やからな?由宇くん」 青ざめる由宇の肩に周防が触ると、由宇は静かに頷き 「えーと…どないしよ。ほんまは1人にしたらあかんねんやろうけど…報告せなあかんし一瞬離れるで?ステーション行って応援呼んでくる。ええ?まだ吐くかも分からんでお顔は横、向けとくんやで」 力無く再度頷く由宇の姿に後ろ髪をひかれながら、点滴スタンドをガタガタと鳴らしてステーションへと入り、電話をとると日勤リーダーの奈南のPHSにかけた。 「先輩!周防や。由宇くんが麦茶一気飲みして大量嘔吐しとる」 (え……分かりました。意識は?) 「ある。せやけど、なんやパッとせぇへんねん」 (じゃあ、塩分タブレット舐めさせて誰でも、いいから先生をつかまえて。ぼくも今、向かいます!再度吐くかもしれないから誤嚥(ごえん)に注意で) 「了解や」 周防は電話を切るとすぐ医局へと電話し、棚から塩分タブレットをひっつかみ、8号室へと走った

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