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真白と、祖父江 〝由宇27歳編〝

外来診察室に祖父江がたどりつき、中へ入ると懐かしい声が聞こえ疲弊(ひへい)した瀬谷とベッドに寝かされ下半身丸出しのまま興奮する真白の姿が見えた。 「せんせぇーっやぁあ!」 「はいはい。困ったね。そこまで俺のことが怖いかい?」 「こわいーーっ」 今にもベッドから転がり落ちそうな真白の体を祖父江が支えると真白は驚いた顔をし 「え…ええ?なんでぇ?祖父江せんせはもう少年棟にいないのに…ぼく、処置いやすぎて夢見てる?」 「夢じゃないぞ、真白。今週は少年棟のピンチヒッターなんだ。それより、ぼくって言うようになったんだな?すっかり大人じゃないか。えらいえらい」 「へへ。もう22歳ですから」 祖父江の登場に喜ぶ真白はニコニコと笑い、笑う真白の頭を祖父江が撫でほんわかした雰囲気になると瀬谷はおもしろくなく感じため息をついた。 「ふぅ、実継…。水を差すようで悪いが大人はおもちゃを取れなくなるようなところまで押しこまないんじゃないかい?まぁ、しっかりトレーニングしているのは褒めるが」 「朱雀、やさぐれてくれるな。そんなんだから怖がられるんじゃないか?」 「自覚してるよ。さて、引き継ぎをしようか」 瀬谷と祖父江が引き継ぎをしているとPHSが鳴り、由宇の様子を麻弥から聞いた瀬谷は苦い顔をし電話を切った 瀬谷のその苦い顔と聞こえた電話の返事に祖父江は状況を察し 「早く行ってやれ。こっちは任せろ」 「頼んだ」 「せんせ。いってらっしゃい。ぼく、いい子にできなくてごめんなさい」 「あ…いや、、祖父江にちゃんと取ってもらうんだよ、いいね?じゃあ真白。行ってきます」 「ん。こわいけどがんばる」 遠慮がちに自分に向けて手を振る真白に、手を振り返し瀬谷はレントゲン室へと小走りで向かった

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