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甘えん坊由宇 〝由宇 27歳〝

由宇たちよりも早くレントゲン室に着いた瀬谷は、レントゲン技師と話しをしていた。 「瀬谷先生…今から来るサクマユウって方、少年棟初年度の年に入院していた佐久間由宇くんですか?」 「ああ、そうだよ。よく覚えていたね?」 「あー…印象強かったですからね。シーツでミイラみたいに包まれて来て、レントゲン台に移せないくらい混乱してストレッチャーで撮影しましたもん」 「はは。それは迷惑かけたね?おそらく今日も一筋縄ではいかないかな」 「えー…職員健診の時はいたって冷静でしたけどね?」 「それはそれ。今、体調悪いからご機嫌ななめのはずだよ」 話している最中、わーわーとわめく声が聞こえ瀬谷は声に反応し 「お。噂をすれば…来たようだね」 「ちょ、佐久間センセ!興奮しないのっ。ダメだ。聞こえてないよ」 「やだって!!ごほっけほ、けほっ」 「由宇くん由宇くん落ち着いて?いったん(から)んでいるのを吸引して呼吸がしやすくなってからレントゲン撮ってもらお?」 「大雅さんがやられてみろって!すっげぇ苦しいのっ」 「由宇くん。ってぼくも呼ばせてもらうね。いい子だから吸引しよ?ひどくなっちゃうとつらいよね」 「もうつらいーっっ」 興奮する由宇に瀬谷がそっと近づき、由宇に顔を見せると由宇の目からこらえていた涙がとめどなくあふれだし 「うーー…ぇっ…瀬谷せん…せぇ。たすけて」 「由宇、つらかったね」 「ひくっ…ぅえ…っせんせ」 瀬谷に頭を撫でられるとしゃくりあげながら両手を瀬谷に向けて伸ばした。

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