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やさしい涼木 2 〝由宇 27歳編〝

控え室に入った麻弥と瀬谷は、窓越しに見える由宇を心配そうに見守った。 「朱雀くん…。ごめん。ぼくが浅はかだった」 「いえ。由宇が好いてくれているなというのは薄々感じていたのに結婚したことも、離婚してあらたにパートナーを作ったのも黙っていたので…」 「プライベートなことだから言う必要はないよ。朱雀くんの対応で正解。なのにぼくが調子にのっちゃって…。フレンドリーにいこうと思いすぎて度を越しちゃった。申し訳ない」 2人が話していると控え室の扉が開き、由宇の笑い声が聞こえ 「あ、落ち着いた…ぽい?」 「ですね」 「先生方、撮影いけそうなんで始めますね。で、撮影なんですけどベッド上でそのままさせてもらいますね?」 「「お願いします」」 「息を吸って止めてください」 ピーピピ 「はい、確認します」 電子カルテの画面上に出てきた画像を3人は見つめ 「んー……モヤ見えるね」 「ですね」 「以前の跡も残ってますね」 「酸素始める?朱雀くん」 「はい。0.5リットルから始めましょう」 麻弥、瀬谷の2人が撮影室に戻ってくると涼木に頭を撫でられて笑う由宇の姿が見えた。 「動かずに頑張ったな!えらいえらい」 「もー、大雅さん。俺、ガキじゃないからレントゲンくらいできるって!でも、もっと褒めて」 「はいはい。いい子いい子、よしよし」 涼木のあやしなれた様子に瀬谷は驚き、笑う由宇の姿にほっと胸を撫でおろした。

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