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由宇くんの取説〝由宇 27歳編〝

「ん?いないな。どこ行ったんだ?」 由宇の部屋へ行くと本人は不在で、室内には掃除をしている奈南とアシスタントスタッフがいて白鷺は左右を見渡し、奈南に声をかけた。 「おつかれ、由宇はどうした?」 「お疲れ様です、白鷺先生。佐久間先生はちょっとトラブルがあって今レントゲン室です」 「トラブル?悪いがその説明じゃよく分かんねぇ。何があった?」 「すみません。短時間でお茶を飲み干したらしく低ナトリウムになって嘔吐しました。それを誤嚥している可能性がありレントゲンに行かれています」 「分かった。やっちゃいけないことしてくれたわけな?麻弥がおちょくったのが悪いとは言えちと、まずいな、、」 「おちょくった?!」 驚く奈南に白鷺は謝り 「悪い。由宇の水分摂取量が少ないもんだから昼までに飲むように指導したんだが、発破をかけたつもりが裏目に出て追い込んじまった」 「よく分からないですけど…佐久間先生、、あーいえ、あえて由宇くんって言いますけど、普段お医者さんの仮面を付けていますけど、ぼくが見てきたかぎりではかなり繊細な子です。褒めて甘えさせて高めてあげないと思いこみすぎちゃいますよ?」 「…」 白鷺は奈南に聞いた情報を重く受け止め、しばらく考え 「白鷺先生?」 「…奈南だったよな?」 「はい、奈南です」 「情報感謝する。麻弥に情報共有するが対応の仕方を変える」 「ありがとうございます。由宇くん、喜びますよ。あたたかく接してあげると可愛らしい子なのでよろしくお願いしますね、先生。じゃあ、ぼくは師長に報告行ってきます。アシスタントさん協力ありがとう。戻りましょう」 部屋から出ていく2人を見送り、白鷺は由宇の帰りを待った。

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