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縁さん、たじたじ 〝由宇 27歳編〝

時はさかのぼり、、 紫藤縁は困っていた。 「はあ、、師長……。あなたはいつまでここにいるおつもりですか?」 夜から朝までずっと居座り、朝食まで一緒に摂り9時を過ぎても自分の病室に戻る気配のない真尾宵の姿に紫藤縁は冷たい声音で尋ねた。 「んー……う?いつまでって??」 悪びれもなく真面目な顔で首を傾げる宵は、紫藤がなんで不機嫌なのか見当もつかずニコニコと逆に尋ね返し 思っていた返答と違うことにあきれて紫藤は再度ため息をついた。 「はぁ。今朝は確かにあなたのおかげで助かりましたよ?それは感謝しています。久々の激しい発作でしたから。もし私1人でいたなら苦しい時間はもっと長かったでしょうしね」 「ですです。僕も役立つ時はあるんですよ?紫藤先生。なのに追い出そうとするんですか?なんで?どうしてですか?」 「休まりません。お互いに」 「大丈夫です。迷惑かけないですから」 「しつこいですね…まったく、、。もう間もなく日勤者が検温に来るじゃないですか。内密にって言って布団に入れてあげたの覚えていませんか?」 「う。そ、それはぁ…。覚えています。約束しました。あ、で…でも紫藤先生。うちの子たちってみんないい子達だから何も言わないと思いますよ?」 「そういう問題では、、」 「僕、お邪魔ですか?……ぐす…っ」 「ちょ。ぐずらないでください師長」 「宵さんです。甘えん坊で寂しがりのっ」 「困りましたね…」 思い通りになるまで言い続けるタイプとみました。やっかいです…が、不思議なことに腹は立たない。 なんですかね?嫌と感じさせないのはこの人の持つ天性の才能でしょうか? 紫藤は、どうこの甘えん坊を操作しようかとしばらく悩み 「今、お部屋に戻ってくれたら今夜も一緒に寝てさしあげます。どうせあなたのことだから今日も眠れないのでしょう?違いますか?」 「紫藤先生っ。一緒に寝てくれるんですか?それってほんとにほんと?」 紫藤の提案に目を輝かせる宵は今からの身の振り方を考え、嬉しさに紫藤の腕に自分の腕を絡めた

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