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指宿のお悩み
その頃、指宿はすやすやと眠る皇の頭を優しく愛おしむように撫で、口を額に寄せてキスを落とし皇を起こさないようにそーっと部屋を出た。
正直、皇をひとり置いて行くのに不安を感じつつも出勤した。
浮かない表情の指宿を見てすっきりした顔の更科は指宿の肩を叩く
「どうした?」
「あ…いや、、ちょっと」
「なんだ?俺にも言えないようなことか?昨日、早退していったのと関係あるか?」
「えと、その通り。蓮…その、コウくん誘拐してた時期あったろ?その時どうしてた?」
「は?」
繋がりが見えずに首を傾げる更科に指宿は答える
「コウくんと同じ名前の子覚えてるかな?すぅって愛称でずいぶん前に入院してたあの子が恋人でいま家にいて不安で」
「あ〜…記憶にあるな。自傷のやつだろ?で?別にどこかに行くとかないだろ?俺の場合は誘拐だったから脱走の心配だったりで不安はあったが。何をそんなに不安がる?」
「いまだに自傷をたまにするんだよ。変わらず掻きむしりとか抜毛なんだけど」
「爪は?薬剤調整うまくいってないのか?」
「切った。薬は問題ない。昨日はここのとこ落ち着いてたから油断してた。たぶん衝動的にしちゃうんだと思う」
「ふーん…ならおもちゃでも買ってやれば?気持ちいいことは男なんだし好きだろ?時間も潰れるし寂しいの紛れるんじゃないか?」
「おもちゃってすぅは怖がりなんだよ。どんな虐待受けてたかは知らないけど、痛いのとか変ないじり方はトラウマになりかねない」
「優しいのな?ちなみに最後までしたことある?」
「最後までは…あるけど、数えるほどかな。すぅは性的虐待受けてたし元彼くんもいたから経験は多いよ。ただ僕としては痛がったり泣いたりすぅがかわいそうに思えてあまりガツンとできなくて」
「これ、使うか?」
更科は引き出しから小さなローターを取り出しぷらつかせた
「っば!なんちゅうもん、デスクに忍ばせて」
「幸で遊ぶために。幸のお下がりだけど毎回消毒はしてるしめちゃくちゃ怒るかもしれないが…たぶんそいつも悦ぶぞ?」
「で、でも…」
「お前のが入るなら大丈夫だ。エネマグラも今度持ってきてやる。気持ちいいことだけ考えさせれば余計なこと考えなくなるさ」
「大丈夫だろうか?」
「大丈夫大丈夫。逆に手出しされなさすぎも不安かもしれないぞ?案外、刺激不足で不安定なのかもしれん。なんなら近々幸とそっちに遊びに行くが?」
「考えとく。ちなみに昨夜はコウくん大丈夫だった?」
「いや…おかんむりだった。久々に何もせずに寝たが…今朝仲直りした。」
「あ〜それで?スッキリした顔してる訳か。ちなみに今夜もする?」
「お前…俺のベッド事情気になるのか?」
「違っ!誠がコウくんの歓迎会したいから今夜うちへ集合って。休み調整まで頼んできたから何か企んでるかもしれないけど行くよね?」
「また急だな。分かった」
2人はそれぞれの仕事へと入っていった
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