21 / 25
2人のこう
「え?マジ?指宿先生連れてきてくれそうなんだ?楽しみっ」
バスローブをサラッと羽織ってチューハイを手に持ち湊はベッドに腰掛けた。
「なんでバスローブ?」
「まこのことだからたぶんすぐ脱がしてくるからめんどい。こーたんも服変える?無理矢理脱がされるよりいいよ?」
「湊、おまえ怒ってるな…まこ呼びするときは相当だろ?」
「怒りもするしっ」
「こーたんいじめたらゆるさんっ」
「いじめたやつがよく言う」
「僕は先輩だからいいの!」
「なんだその理屈」
雑談をしながら4人は残りの2人の到着を待った
・
・
「すぅ?やっぱり行こ?」
「でも…怖いな」
「これがいいきっかけになると思う。このままどこにも行かず誰とも会わないわけにいかないから」
「うん。分かったよ。すぅ頑張る」
皇は内心嬉しかった。
いつも腫れ物に触るかのように優しく扱われて大事にされていると感じる反面、この人にぐちゃぐちゃに愛されて潰されたいと感じる面もあった。
でも、言えなかった。
2人は夜道を歩いて大澤家へ向かった
途中ひそひそ言う声が聞こえてびくついた皇だが指宿はしっかりと手を握って引っ張っていった
「大丈夫。自信をもって」
マンションの前に着き皇は立ちすくむ
「や…やっぱり怖いかも」
「動けない?」
「うん」
「皇?大好きだからよく聞いて?いま待ってるのは僕の大切な仲間なんだ。それ以上に皇が大事だけどね。だからみんなと仲良くしよう。僕とももっと仲良くなってほしい」
指宿はちゅっと皇に口付けインターホンを鳴らした
皇の顔は幸せそうに緩んだ
「いらっしゃい〜。先生」
一目散にバスローブ姿の湊が出迎える
「わぁ。その子先生の?ちょっとこーたんより小っちゃいかも。かわいいじゃんやるねっ」
「湊っ早く中に入れてやれ。すまんな…うるさい弟で。久しぶりだな元気だったか?」
「あ…はい。大澤さんも?」
久々に見た見知った顔に皇は思わず笑みがこぼれる
「ああ。こっち来て」
しかし皇は扉の前で固まった。
この中には何も知らない幸がいる
「怖い…」
「来栖〜」
様子を察した誠が幸を呼ぶ
出迎える幸は驚いた
「え?…ちょ。ごめ…めっちゃ昔馴染みに似てて」
覚えていてくれたことが嬉しくてぎこちなくも笑みを浮かべ皇は頷いた
「あ…合ってる。すぅだよ。幸せくん」
「嘘っっ。なんかキャラ違う?もっとなんかこうテンション高い系だった気が…てか、指宿先生聞いてない。いつの間にそんな関係って、いつ出会ったの」
幸はパニックになる
「え…えーっと、ごめんね。イメージ崩れちゃうよね。仁と一緒だった時は…アゲアゲ系だったから」
「幸、すぅが困ってるぞ。とりあえず座らせてやれ」
「蓮知り合いなの?」
「元入院患者だ。ようやく目が合わせられるようになったんだな」
「久しぶりです。更科先生。ごめんなさい今まで避けてて」
「いや、気持ちはわかる。よく会いにきてくれたと思うぞ」
「皇?座れる?」
指宿は皇に耳打たれ、座ろうとするが傷がひきつれ皇は顔を歪ませる
「…っぅ〜」
「痛む?」
「うん。掻いたとこがちょっと」
「「指宿先生イタズラしたの!?」」
幸と湊がハモって尋ねる
「蓮や誠と同等にしないでほしいな。さすがにそんなものは仕込めないよ。蓮に今朝ローターをもらいはしたけどいざするとなると泣いちゃうだろうから」
「き、聞いてない。たっくんそんなの持ってたの?」
「ご、ごめん」
「使ってもよかったのに」
「え?」
突然の言葉に更科以外は顔を見合わせた
「やっぱり物足りなさからの不安定だったようだな」
「じゃあ、ダブルこうくんの歓迎会しよう。来栖、やっぱりさっき着替えるべきだったな」
「皇?大丈夫かい?泣かない?無理しなくていいんだよ?」
「怖いしヤダけど…痛くない気持ちいいことは好きだよ?すぅだって男だから」
受け取ったチューハイを皇はグイッと飲み、洋服を脱いでいった
ともだちにシェアしよう!