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第21話
ピピピッピピピッピピピッピピ。
いつも通りに鳴るスマホの目覚ましを消して、ムクリと起き上がる。
あ~~~、ダッル。
ベッドの端に座って、しばし脳がシャッキリするまで動かないでいる。
静かに閉じていた目を開けて、ベッドの外に投げ捨ててある自分のTシャツとボクサーパンツを履いて、スウェットのパンツを履くと後ろを振り返る。
晴人がスースーと寝息をかいていて、俺は晴人の髪に一つキスを落とすと、そのまま部屋を出る。
はぁ~~~、昨日の晴人も可愛いかったな~。セックスしてる時は、メチャ素直になるよなアイツ。
ポーカーフェイスでそんな事を思いながらダイニングへ行くと、茉優が朝食を食べている。
「おはよ」
「おはよう、仲直りした?」
笑顔で、そう聞く茉優の台詞に内心ドキリとしながら
「まぁ……」
と、だけ答えると
「良かったね、昨日晴君お風呂入ってから文君の部屋行って話するって言ってたから、話できたんだね?」
「そうだな、できた」
「そっか、そっか、良かったね~」
心底良かったといった茉優の笑顔に、俺の口元も綻ぶ。
「茉優、お前時間大丈夫なの?」
チラリと茉優の後ろにある時計を見ると、結構ギリな時間になっている。
茉優は一度後ろを見て、ヤバっ。と言うと、コーヒーをグイと飲み干す。
「あ~、あ~、良いから食器は置いとけ」
急いで洗う気だったのか、ガチャガチャと食器を重ねている茉優に、そう言う
「え、え、でも悪いし……」
「遠慮すんな、遅刻するよりマシだろ?」
「………、ありがとう!じゃ、行ってきます!」
そのまま茉優は俺に食器を任せてくれる。
まぁ、前よりだいぶ甘えられるようになってきてんじゃねーの?
………、俺の妹に比べたらまだまだだけどな。
「気をつけろよ~」
茉優の後を追って、玄関まで見送る。
朝、出来るだけ俺は茉優が仕事に行くまで、一緒の時間を共有しようと起きるようにしている。
それは三人で暮らしていく上で、良いバランスが保たれるように、俺がしないといけないと思ってるからだ。
言ってしまえば自己満足に過ぎないが、少しでも俺の中で茉優が大切な人だと伝わると良い。
見送った後、玄関の鍵を締めて食器を洗い、顔と歯を磨いて再び自分の部屋ヘ戻ってベッドの中に入る。
ゴソゴソとベッドが揺れるが、それで晴人が起きる事は無い。
結構昨日は無茶させたし、数日前も抱いてる………、最後の方朦朧としてたからな……。
ベッドのヘッドボードを背もたれにして、上から晴人を眺めている。
本当人って話してみねーと解んないもんだな。
まさか晴人が俺に執着してくれてるとか、返信が遅いとか、少ないとかで怒ってたとか……。俺が思ってる事と全然違う事思ってたなんてな……。
お前から貰った指輪のお陰で結構虫よけにもなってるって事、解ってんのかね~?
結構人って指輪のチェックはしてるもんなんだよなぁ。
ま、俺も割と直ぐチェックしちゃうタチだからさ、見る人多いんだよ。
とか、こんなの言っても晴人的にはあ、そう。なんだろうけど。
はぁ、今だに晴人にとっての恋愛感情の線引きの定義が解んねー。
セックスの時は素直で、まるで晴人が俺の事を好きだと勘違いしてしまいそうになる。
嫌われては無いんだから、好き寄りって事なんだろうけど普段は相変わらず茉優、茉優言ってるし、女の方が好き。
本当、厄介な奴好きになったよな俺も。
けれど、一つ一つ晴人の事を知る度に、喜びも増えるのは確かだ。
今回の件も、そうだな。
「飽きねーよな、お前といると」
寝ている晴人の髪をクシャリと撫でて、俺も二度寝する為に、ヘッドボードから背中をズルズルと下にさげていく。
今日はゆっくり起きて、晴人と一緒に食材の買い出しを……。
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