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第31話 ※

 キスをしながら黒木の手が身体中を這う。 「……んっ、く……ろき、……アッ、あぁっ」  ビクンとして反った背中に、黒木が手を差し入れてきた。 「はぁン……ッ!」    背中をそっと撫でられて、ゾクゾクと快感が走った。   「背中もか?」  黒木はクッと笑うと、背中を撫でながら俺の身体をうつ伏せにした。 「あ……くろ……き……」  顔が見えない。寂しい……。そんなことを思う余裕があったのは一瞬だった。 「……アッ、は……ぁっ、……ンンッ!」  後ろから首や耳を舐められながら、黒木の指が背骨にそってツーっと撫で上げる。  ゾクゾクが止まらなくて、背中が何度ものけ反った。   「それやだっ、アッ、あぁっ! はぁっ、くろきぃっ、やぁ……っ」  やばいやばいやばいっ。すげぇ気持ちい……っ 「また、ちぐはぐだな」    黒木はそう言って楽しそうに笑う。 「う……うっさいっ。あ……ぁンッ、言うな……よっ! あぁ……っ、ンンッ、やば……いぃ……っ」 『ほんと、可愛いな……。もっと鳴かせたい』 「ああ……っ、ンッ、……ひぁっ!」    舌が首から背中に下がっていって、手は脇腹を優しく撫でる。やばい気持ちい……黒木の舌も手も……優しい。  脇腹なんてこしょばいだけのはずなのに。同時に背中を舐められながら快感が全身にまわる。  黒木の心からまた『可愛い』が何度も流れてきて、よけいにゾクゾクが止まらない。 「んん……っ、アッ、きもち……いぃ、はぁっっ、くろきぃ……っ」  執拗に背中を愛撫され続けて、もう頭が真っ白になってきた。黒木がほしい。もう我慢できない。後ろがうずいてしかたない……。  パチンとローションを開ける音がして、一気に期待が高まる。  黒木の心から、俺を抱いている映像が見えてきた。黒木も俺をほしいと思ってくれてる。嬉しくてそれだけでもう抱かれてる気分になって幸せになれた。 「じゃあもうコレいらないか?」  俺の後ろに、ヌルヌルとなにかがこすられる。  たぶんローションで準備された黒木のものだ。 「な……にそれ。AVのセリフみてぇ」  おかしくなって笑う俺に黒木が聞いた。 「お前本当に見たことあるのか?」 「……ん? あるよ?」  父さんの隠してるDVDの場所なんて知ってるし。 「なるほど。隠しごとはお前には通用しないもんな」 「黒木……も……いいから早く……」  俺がいつものように前を向こうとしたら「後ろのままで」と止められた。 「後ろのほうが負担が少ないらしい」 「そ……なの?」 「もう無理しすぎだから、後ろからな。ちょっと腰上げろ」 「……ん。でもなんか……これ恥ずい……」 「大丈夫だ、可愛いから」  またもう……なんでも可愛いんじゃん。  黒木が心を聞いてクッと笑う。 「頭は下ろしとけ」  手をついて上げていた上半身を、黒木がそっと優しく押す。俺は言われるままに突っ張っていた手を解いて頭を下ろした。 「こう?」 「そう。その方が楽だろ」 「……ん」  やばい。黒木がめっちゃ優しくてキュンてなる……。  ローションを後ろに塗られて、黒木の指がゆっくりと入ってきた。 「はぁっっ、あっ、もう……指いいって……、んんっ」 「一応な。大丈夫そうだ。すぐ入れていいか?」 「うん。入れて……」  もう待てない。黒木が早くほしい……。   「はぁ、ほんと……。このときだけはお前の心が聞こえなければいいのにと思うよ」 「え……なんで……?」 「お前がすぐ煽るからだ。ひどくしそうで怖くなる……」  黒木はすぐ俺が煽るっていうけどよくわからない。  黒木のものがヌルヌルと後ろをくすぐって、ゆっくりと優しく入ってきた。 「……んっ、あ……黒木……っ、はぁ……っ」  俺はこの瞬間が好きだ。黒木が俺の中に少しづつ入ってくる。あったかい黒木のもの。俺と黒木を繋ぐもの。 「……入った。……野間、平気か?」 「……ん。黒木でいっぱい……嬉しい……」 「……はぁ……ほんと、天然小悪魔……」 「え?」    ボソッとつぶやかれた言葉に首をかしげる。  なに、天然小悪魔って。   「なんでもない。……もうなじんでるな」  黒木はそう言うと、俺の中をゆっくりと動き始めた。  

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