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第62話〈黒木〉※

『黒木好き、すげぇ好き。黒木が俺のことずっと考えてるっ。やばい嬉しいっ、好きっ。はぁ、もうどうしよう……幸せ……。黒木……好き』  キスをしながら、うるさいくらいに絶え間なく聞こえる野間の心が、まだ夢のようで信じられない。  俺はいままで『好き』という言葉をもらった記憶がない。野間が友達として言ってくれた『好き』が、記憶にある限り初めてだ。だからこんなにたくさんの『好き』を浴びた経験がない。幸せすぎて不覚にもまた涙が出そうだった。 「……んっ、……くろ……き……」  俺の舌の動きに追いかけてくる野間の舌が可愛い。  舌を絡ませながらふと目が合うと、トロンとした顔で目を細めて『黒木、好き、大好き』と微笑む。  ずっと願ってた。俺を好きになってくれ。野間を独り占めにしたい、と。  まさかそれが現実になるなんて。  俺を好きだと全身で訴えてくる野間が、100倍増しで可愛くて頭が沸騰する。 「……ふぁ……っ、ん……っ、……アぁッッ!」  舌を絡ませトロトロになってる野間を眺めながら、Tシャツの上から乳首を弾くとビクンと身体を仰け反らせた。 『やばいやばいっ無理っ。黒木の「好き」だけでもおかしくなりそうなのにっ。さわられたら……も、イッちゃうっ』    大げさだな、とクッと笑った。  紅潮してトロトロの野間が感じてる顔は最高に可愛い。  そのまま突起をいじり続けると、ずっとビクビクと身体を仰け反らせ、合わせた唇から苦しそうに喘ぎがもれる。 「んんぅっ、……んっ、ゔーっっ……」 『だめだめっ、むりっ、やばいっ、あ……俺マジ、イきそ……っ』  え、マジだったのか?  まさかだろ?  そう思い、野間のそこをズボンの上からさわってみた。 「ひぁっ、アぁ……ッッ!」  さわっただけで全身が震え、そこがビクビクと脈打ち、中で吐き出されたのがわかった。 『う、うそだろ……恥ず……っ。なんでっ』  とろけきった顔のまま涙を浮かべる野間にクラクラとして俺は倒れ込み、野間の頭を抱き込んだ。 「ほんっと可愛いすぎ……」 「ど……どこが……」 『こんなの恥ずいだけじゃん……』  俺は耳元に唇を寄せた。    「野間、好きだ」 「……んんっ……」 「大好きだ」 「は、……アッ……」 『やば……また勃っちゃう……』    野間はもともと耳が弱いが、これは野間が言うとおり本当に「好き」の言葉にも反応してる。  それがどれだけ俺を喜ばせてるのか野間にはわからないらしい。 「下脱がすぞ?」 「……ん」 『ど、しよ……。恥ずすぎるのに、もう全然力入んねぇ……ごめん、黒木』 「なんだごめんて。だから言ってるだろ? お前は気持ちよくなってればいいんだよ」  ズボンとパンツを脱がすと中は精液まみれ。そんな事はわかりきっていたのに、それがやけに興奮した。  ぐったりと動けない野間が「なんだそれ……」と恥ずかしそうに腕で顔を隠す。   『やべぇ……興奮する黒木に興奮しちゃうし……』  ティッシュで野間のものを拭いながら、その言葉にクッと笑った。 「なあ野間。もしかしてお前、『好き』と乳首だけでイけるかもな?」 「は……っ?」 『……ぅ……ぅうああーーーー! んなわけねぇじゃんって言えねぇーーー! だっていまイきそうだったしっ。黒木がさわんなくてもきっとイッちゃってたしぃっ。うあぁ……恥ずすぎる……!』 「……ぅぅっ……」  ほんと、可愛いな。  ここまで脳内がテンパってる野間の心を久しぶりに聞いた。  これが本当に可愛くて参る。心も仕草もなにもかもが愛しくてどんどん好きがあふれた。   「キ、キスもだったっ!」 「ん?」 「好きとチ……クビだけじゃなくて、キスもしてたっ!」 「ああ、好きと乳首とキスな。やってみるか?」  そう聞くと必死な顔で左右に首を振る。 「今日はもうやだっ。だってもう……はやく黒木がほしい」 「おい、まだ始めたばっかりだろ」 「だって……もう俺、我慢できねぇ……」 『うう、黒木カッコイイ……好き。黒木の心がずっと聞こえんのほんと夢みたい。これで黒木とつながったら俺どうなっちゃうんだろ……。幸せすぎて死ねそう……』  野間は俺の腕を引き、首に腕を巻き付け抱きしめると耳元で言った。 「俺、はやく黒木とつながりてぇ……」  本当に野間は俺を煽る天才だな、と深いため息がでた。  

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