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第9話

ユキさんが帰ってからずっと、なんだかわからないけど、モヤモヤしてた。 毎日毎日、シンからのメッセージは届いてたし、電話もあった。 変わらぬ声で、「愛してるよキョウちゃん」と囁かれた。 いつも受け流しているそれに、少し、何故か、戸惑ってしまった。 13歳でもシンはもうアルファで、学園のオメガ達から求愛されてることも知ったし、処理をしないかとカウンセラーからも言われてる、その現実を知ってしまったからだ。 シンはオメガ達を拒否してる。 処理も拒否してる。 そこに何故か安心している自分がいて、そこはダメだと思った。 シンはオメガと番になり、幸せになるのだ。 絶対に。 そして、週末、またシンが帰ってきた。 いつもと変わらず抱きついてきて、キスを強請って。 オレは仕方なく、キスして、また唇にキスされた。 ペロリとは舐められたけど、それ以上はしないから、安心した。 そう。 これでいい。 これで。 オレが作ったご飯を食べて、シンが片付けて。 2人で映画でも見ようかといって、居間でテレビを観てると、いつものようにシンがオレの肩に腕を回して抱きついてくる。 まあ、これも子供の頃からだし。 今更なぁ、と思う。 だけど今日はヒョイとシンの膝の上にのせられてしまった。 160センチのオレと180センチを超え始めたシン。 体格差があるので、子供のように乗せられてしまう。 「おい!!」 そうは言ったけど、まあ、ゆるしてしまった。 シンが小さな頃はオレがシンを膝に乗せて背後から抱きしめていたからだ。 でも、映画を観ていたはずなのに。 シンのが硬くなってきて、オレの尻の穴の上を狙って擦り出したのには流石にダメだろ、と思った。 ダメだ、と言えばシンは止める。 それが分かっていたのに。 「キョウちゃん、好き」 熱い声で耳元で囁かれる。 何故かゾクっとした。 唇を舐められてた時のあの感覚だ 「キョウちゃん・・・キョウちゃん」 ゴリゴリと巨大な存在感のモノをこ擦り付けられる。 今までは、なんか硬いとしか思わなかったその感覚に、変な感じが混ざり始めた。 「やめろ」と言うべきなのは分かってた こんなの間違いでしかない。 でも、声とかかる息の熱さ、背後から抱きしめられ、腹を撫で回す掌とか、胸の厚みとか、ゴリゴリ擦られるリズムとか。 それに。 「欲望にたえている」話とか。 アルファはペータ以上に辛いそれに耐えてるとか。 なんか色々。 処理とかしないで我慢してんだとか、色々。 なんか。 なんか。 分からなくなってて。 「今日は止めろって言わないんだね、キョウちゃん」 甘く言われて、ピクリと身体が震えてしまったのは何なんだろう。 「嫌がることは、しない、から」 シンの甘い声に、なんか、考えるのを止めてしまった。 良くないっておもってるのに。

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