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第13話

当たり前だか、そこは本当にアルファオメガばかりだった。 シンに連れられ学校内を案内された。 シンに連れられているオレを彼らは珍しそうに見つめる。 いや、でも、ここくらいだ。 オレが、ベータが、珍しいのは。 この中にいるとアルファ、オメガは明らかにベータと違うと思わされた。 アルファはデカイ。 182センチのシンですら普通だ。 10歳だろうな、と思われるアルファでも大人並みの身長がある。 シンも10歳になりアルファになってからは170センチはあった。 ひと月で身体を作りかえられ20センチもでかくなり、13歳の今は182で、まだ伸びている。 190超えているアルファも当たり前にいる。 それに対してオメガは小さい。 いや、身長に関してはベータと変わらないのだ。 こっちが普通なのだ。 アルファがでかいだけだ。 まだ10歳くらいのオメガの子とかは、本当に子供だった。 でも。 オメガなんだ、とわかる。 綺麗で妖しい。 姿形は子供なのに、なんか違う。 大人のような色香としか言いようのないものがある。 お人形さんみたいに綺麗なのに、人形ではありえない色香があるというか。 男でもなく、女でもなく、子供でもない。 オメガはオメガなのだ、と思わされた。 オメガは発情期を迎えたなら、アルファの番になれる。 つまり、ここにいるでっかいアルファの番に、この子供みたいなオメガがなってることもあるのだ。 というか、目の前を通ったまだちいさなオメガの項に番の印の噛み跡があって目眩がした。 そう。 もう、誰かが、ここのでっかいアルファの誰かが、あの小さなオメガを組み敷いて番にしたのだ。 ここは。 この学園は。 アルファ、オメガが番を見つけるための場所でもあるのだから。 どうしよう。 シンのことを好きなオメガが、まだ子供だったら・・・っていうか、シンも13歳だから、同級生のオメガなら当然、子供じゃないか。 大学生くらいにしか見えないシンと、中学一年生のオメガの組み合わせを思い描いた。 犯罪にしかみえない。 が、それでも同い年だし。 とにかくアルファオメガには、ベータの常識が通じないのだ。 オレはアルファとオメガがやはりとんでもない生き物達だと思い知らされながら、嬉しそうにオレを案内しているシンの後をついていく。 「ここがカフェテリア、なんか食べていく?」 オシャレな、そう、食堂ではない、カフェテリアに案内される。 アルファもオメガも授業へ向かう様子はない。 アルファは個人学習、つまり自分で勝手に勉強してて、オメガは単位をとる形で勉強してるし、何ならアルファが勉強を見ていたりする、とのこと。 まあ、つまり。 「この学校なんか、アルファとオメガがヤルためだけの場所だからね」 シンは呆れたように言い切った。 だが、ここで学んだアルファが実質社会を動かしているし、ここのアルファのほとんどが有名大学へ進学する。 優秀なオメガも出てる、ということは教育システムはそれでも良いんだろう。 しかし・・・ チラリと目シンが目をやった方を見れば、どう見てもまだ10歳のオメガを抱えるようにして、どこかへ連れていく180以上はあるアルファがいた。 ああ、そうなの。 これからスるのね。 あんな小さな子と? あんな大きなアルファが? でも、シンも外見は大人なので、ああ見えて同級生同士かもしれない。 いやそもそも、オメガアルファは相手の年齢はあまり気にしないのだ。 まあ、学校で出会うことが多いから8歳差までが多いらしいが、出会った事情によっては20歳差とかもあるし、アルファオメガ達はそこはほとんど気にしてない。 番を失った、40過ぎのアルファが10歳のオメガを2番目の番に迎える、などもあるのだ。 「寮の部屋が個室なのはそのためだよ。番にならないでヤってる奴らもいるし」 シンは肩をすくめる。 ここで付き合ってすぐ番、というわけでもないらしい。 アルファは気にしないけど、オメガは一生の問題なので、慎重になるからだそうだ。 その分揉める。 オメガの取り合いで、アルファ同士の凄まじい乱闘や、アルファを巡ってのオメガのせめぎあい、みたいなのもあるらしい。 が、基本。 オメガにアルファを選ぶ権利がある、というのがあるので番が決定さえすれば、そこは落ち着く。 それが本能の1つじゃないと、アルファは欲しいオメガのために世界の全てをめちゃくちゃにしかねない、というのは怖い話だ。 アルファの本能は、アルファの社会を守ためでもあるんだな、と。 また、違うアルファとオメガが連れ立って消えていく。 乱れてるな、と思ったけれど、一生のパートナー、番をつくるのはアルファオメガには大問題だ。 仕方ない、のだと思う。 そら、ベータの学校にアルファオメガを混ぜないよな。 ベータが困惑しすぎる。 「シン・・・は気にならないの?周りがほら、ガンガン番を探して付き合っていってるんだろ?」 オレは話をふってみた。

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