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第21話

シンの唇が何度も何度も甘く重ねられる。 甘く痺れて、吐息を吐いたらシンの舌が潜り込んできた。 そして、オレの舌をシンは見つけ出す。 顎を掴まれ動けなくされて、シンのなすがままに舌を蹂躙された。 やさしいのに強引で。 舌を絡められ、こすり合わされ、そして甘く吸われ。 思わず呻いたら、さらに激しく深いキスがくる。 息ができなくて、苦しい。 でも甘い。 苦しい 止めて貰えない。 酸欠になりかけて、やっと離され、シンの胸の中に抱き込まれる 「震えてるの?可愛い・・・」 シンはとても嬉しそうに言った。 そう、オレは震えていた。 怖かったから。 「怖がらないで。キョウちゃんが怖がることなんて何より1つない。キョウちゃんが怖いことなんか何も1つこの世界にあることをオレが許さない」 シンは言った。 その声こそが少し怖かった。 なんでシンはそんなこと言い切れる? アルファとベータ。 オレ達は歪つだ。 「キョウちゃんが泣いてるオレを抱きしめてくれた時から、オレにはキョウちゃんだけ。他は誰も要らない」 シンの言葉の意味はわかる。 オレもだ。 誰もいない部屋で二人の子供が抱き合った。 そこからもうお互いしかいなかった。 アルファでもベータでもなかった頃からの。 「オメガは要らない。キョウちゃんしか要らない」 シンはそう言って、オレの頬を両手で挟んでオレを覗き込むから。 オレは目を閉じるしかなかった。 だって。 キスして欲しかったから。 「キョウちゃん・・・本当に可愛い」 シンは優しく笑う。 そして、またキスが始まり、今度はオレの息が出来るようにシンは上手にリードしてくれた。 「キス、好き?」 狭間にそう囁かれた。 甘く痺れてて、シンの舌を自分から追いかけるようになってて、舌を出したまま、その言葉に頷く。 キス。 好き。 「もっとしてあげるからね」 シンはオレの髪をかきあげ、腫れてる目にもキスして言った。 オレは泣きすぎて酷い顔をしてるだろうに。 なんでこんなオレがいいんだろう。 それになんでこんなにキスが上手なの? 「キョウちゃん以外とキスしたことなんか無いからね」 シンが心を読んで怒ったように言う。 それに安心した。 オレだけ? オレだけ? 「そう、キョウちゃんだけ。だから安心してね」 シンがそう言いながら、オレからシャツを脱がしていく。 ズボンも下着も。 手際よく。 あっと言う間に。 「キョウちゃん、だから安心して、オレのものになって?オレもキョウちゃんのだから」 囁かれて。 もう。 拒否なんか出来なかったのだ。

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