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第24話
【シン】
「そんな奥まで・・・、ああっ、いいっいいっ!!」
ユキ先生が鳴く。
オメガはいくら突き上げても心配することは無いから、オレは思うまま突き上げた。
殺したい。
そんな殺意に似た捕食感。
ただ奥にぶち込みたい為だけに犯す、この、汚らしい欲望。
本能なのだ、とわかる。
奥を何度もぶち抜かれているのに、ひたすら喜悦に痙攣し、中から絞り込んでくるユキ先生の身体も、本能なのだ、と。
奥のオメガの子宮に続く道じゃない、結腸の方の道で楽しんだ。
オメガには2つ道があり、どちらでも楽しめるが、結腸の方がオレは好きだ。
オメガの子宮に興味などないからだ。
それに、結腸ならキョウちゃんにもある。
いつかキョウちゃんのここまで可愛がってあげるつもりだ。
時間はかかるが、キョウちゃんはとても可愛くここで感じるはずだ。
それを思うと満たされる。
それはこんな、ただただ食らうような欲望とは全く違った。
こんなの。
排泄してるだけ。
ユキ先生の痙攣する身体を押さえつけ、中の痙攣を楽しみながらそこで放った。
オメガに放つ、それだけで、脳の中の回路が解放され、本能が満足する。
キョウちゃんを寝かせてから、ユキ先生がオレの部屋にやってきた。
部屋に入るなり、ズボンだけ引き下ろしてぶち込んだ。
オメガの身体を弄りながら、それに耐えてたのだから仕方ない。
キョウちゃんの身体を可愛がることはどんなセックスよりも最高のセックスだけと、この飢えだけはオメガじゃないと埋まらない。
ユキ先生のは既に濡れてた。
抱かれに来る途中から、もうアルファを欲していたのだとわかった。
濡れて欲しがるそこにぶち込んだのだ。
ユキ先生の顔を見る。
醜い方だけを。
万が一でも、「オレの穴」だと思わないように。
気持ち良さに流されてしまわないように。
アルファの多くが抱いただけでもオメガに執着を持つのは、あまりの気持ち良さと充足を恋だと勘違いしてしまうからだ、とオレは知ってる。
飢えを満たしてくれる食料に涎を垂らすだけのことを、勘違いするのだ。
キョウちゃんがどんな姿になろうと愛せるが、他の誰かでは無理だ。
先生の顔は冷静にさせてくれる効果がある。
先生はそういう意味で唯一、信頼できるオメガでもある。
だから。
先生とするのが一番良い。
先生にとってもオレとするのが一番楽な仕事なのは知ってる。
「仕事」なのに執着を持たれても困るだけなのだ、と。
だから遠慮なく使わしてはもらう。
オメガを貫き、オメガの中で出せ。
そう、本能が命じるから。
出しながら動く。
先生の穴もオレのを一雫でも絞りとろうと締め付けてくる。
出した後にはセックスの快感とまた違う、充足がある。
オメガに出さないと得られないこの満足感。
ユキ先生に聞いたことがある。
アルファはオメガの死体ででも、この満足感を得られる、のだとと。
そう、生きているオメガで無くても、これは解消できるのだ。
実際、そういうアルファもいるらしい。
特殊な保存をしたオメガの遺体を使い続けているアルファもいるのだと。
アルファの激しさに数年持たないらしいが。
でも。
アルファがベータを愛するということは。
様々な困難を乗り切る、ということで、死体利用もその1つなのだ。
まあ、番のいないオメガの死体を手に入れることだけても大変なのだが。
だが、もちろん、そんな変態みたいなことはするつもりはない。
だが。
オメガは必要だ。
この中に吐き出さないとダメだ。
歯止めが効かなくなる。
キョウちゃんを優しく抱いてやるためにこそ。
だから、先生が必要だ。
必要だ。
必要だから、まだイってるユキ先生の中を抉った。
ああっ
はぁっ
まだだめ
逃げようとするユキ先生の腰を押さえつけ、締め付け痙攣するソコをゆっくりと楽しむ。
オメガを使うことでしか、満足出来ないことが確かにアルファにはある。
オメガでなければならない欲望が。
それはアルファになった時から分かった。
それまでの身体とは違った。
自分の意志とは異なる判断がある。
それを止められない。
そう、例えばそれは。
オメガが他のアルファを選んでしまったのに取り返すことが出来ないこと、とか。
オメガを愛したことはない。
だが、他のアルファは選ばれなかったなら、諦めるのだ。
他のアルファの番になった?
それがどうした。
取り戻せよ。
そう思うのだが。
実際そうなると、何故かそれが出来なくなるらしい。
だから、他のアルファに番にされてしまう前に血で血を洗う争いが繰り広げられるのだ。
誰かの番にされてしまったなら、諦めるしかない。
欲しいモノを絶対に諦めないアルファですら。
アルファには、そういう制限が沢山ある。
どんなに優れていても、縛られているのだ。
「オメガの中で放て」てというのも、アルファが常に命じられていることの1つで。
オメガを抱かずに居られないのは、ベータがセックスしたいとかそういう欲望のレベルとは違うモノなのだ。
ユキ先生の中で出した。
オメガの身体が自分のを受け入れる。
そこに圧倒的な満足がある。
だけど。
こんなの。
意味はない。
オレはアルファになった時、自分が化け物になったと思った。
血を吸わずにはいられない吸血鬼みたいに。
アルファはオメガを抱かずにはいられない。
だけど。
だからといって。
キョウちゃんを諦めるなんてことは絶対にむりだった。
ひいい
あひい
だめぇぇ
オメガの声にいくら脳が痺れて、身体がもっと喰らえと命じても。
こんなの意味がない。
キョウちゃん
キョウちゃんだけ。
キョウちゃんしか欲しくなかった。
アルファでなく、性欲の意味も分からなかった子供の頃から。
キョウちゃんだけで良かった。
アルファになんてなりたくなかった。
だってキョウちゃん、傷付くだろ。
オレがオメガを抱いたなら。
抱いてると知ったなら。
キョウちゃんは綺麗な人だし、アルファでもオメガでもないから本当の意味では理解できないし。
「お前は最悪だよ。キョウくん・・・可哀想」
そんなことをオレの腹の下でユキ先生が言うから。
なにも言えなくなるまで突き上げた。
いや
ダメ
むりぃ
そういいながらも、オメガはアルファを欲しがるのがわかった。
本当に声も出なくなって、痙攣し続けても、オメガはアルファが欲しがるのと同じ位、アルファを欲しがる。
アルファとオメガ。
最悪の関係。
最悪。
でも、オレが最悪なアルファであってもオレがキョウちゃんを諦める理由にはならない。
なるわけがない。
絶対に離さない。
そして、絶対に傷付けない。
絶対に。
それはもう決めていた。
「先生、もう少し頑張って。オレ、まだ足りないから」
オレは言った。
「クソアルファ、クソガキ」
先生が呻いた。
叫びすぎて掠れた声で。
心の底から呆れた声で。
先生のこういうところは好きだ。
オレは笑って、またユキ先生を貪り始めた。
ただ、貪るだけの。
本能のためだけのソレ。
こんなのにキョウちゃんが傷付く必要はない。
ないのだ。
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