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第28話
シンに帰って来るな、とはいえなかった。
シンにはオレのところだけが帰るとこなのだ。
シンにあいたかった。
でも会いたくなかった。
怖かった。
身体を変えられることが怖い。
快楽でおかしくなることが怖い。
シンにはなんて事ないことが、オレには普通じゃない。
シンに触られたくて、触られたくなかった。
どうすればいい?
どうすればいい?
シンを想いながら身体をいじってしまい、乳首やヘソや穴の周りなんかで感じて、イってしまう。
怖かった。
怖い。
怖いよ、シン。
でも。
シンに帰って来るなとは絶対に言えない。
でも。
本当に怖かった。
「ただいま!!」
シンの嬉しそうな声が玄関から響いた。
シンが帰ってきたのだ。
台所で料理をしていたオレはシンの声に思わず震えた。
手にしたスープ皿を落としてしまう。
ガシャッ
鈍めの音がして、皿は床で割れた。
「キョウちゃん!!どうしたの!!」
音を聞きつけてシンが台所へと飛び込んでくる。
靴さえ脱がずに。
オレは笑ってみせた。
「何でもない。落としただけ。靴は脱いでこい!!今日はポトフだよ」
オレは言った。
壊れた皿を拾おうとした。
「破片に触らないで。ケガする。オレがするよ」
シンが靴も脱がないままで、隣りに座って破片へ手を伸ばす。
破片を掴みかけてたオレの手とそれより先に取ろうとしたシンの手が触れた。
ビクン
シンの指に触れた瞬間、自分でもビックリするくらいオレの身体が震えた。
シンが驚いたようにオレを見る。
「何でもない、そんな突然近寄られたらビックリするだろ、オレがするから靴脱いでこい!!」
オレは怒ってごまかした。
ごまかせたのか?
いや、無理だ。
シンは眉を寄せて難しい顔をしたが、何も言わず靴を脱いで玄関に置きに行った。
普通に。
なんとか。
シンを傷つけずに。
やれただろうか。
オレは飯の後に怯えていた。
食事を食べて。
風呂に入ったら。
シンはオレをどうにかしてしまうだろう。
するって言われてるし。
でも。
無理。
無理。
無理だ。
なんとかしなければ。
オレは必死で考えた。
どうすればいい?
怖い。
怖い。
怖いんだ。
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