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第36話
「キョウちゃん・・・これ以上オレを追い詰めないでくれる?」
シンが変な顔をした。
痛いような苦しいような笑ってるような顔。
それはオレが好きだから食い尽くしたくて、殺したくないという顔だから、オレは微笑んでしまった。
それを見たシンが何故か唾を飲み、オレの中のシンがまた大きくなる。
「何で・・・大き・・・ああっ!!」
オレは驚き、そして悲鳴をあげた。
シンがさらに深くねじ込んで来たからだ。
「信じられない。死ぬかも知れないのに煽ってくる?何考えてんのキョウちゃん!!」
シンは怒ったように言った。
熱い大きなソレがオレの奥をさらに割開きのめり込む。
途中ローションを足され、またゆっくり深く、どこまでも入っていく。
「全部挿れるのは許してあげようと思ってたのに!!」
シンが怒っているが何で怒っているのか分からない。
大きくて熱くて痛くて。
抜いて欲しいと思うけど、でもこれはシンだから。
シンだ。
シンが中にいる。
有り得ないほど深く。
腹に浮かび上がるんじゃないかと思うほど奥に。
「クソっ!!可愛い。死ぬ程可愛い。可愛い可愛い可愛い。携帯でハメ撮りするべきだった!!クソ!!」
なんか最後とんでもないことが聞こえたような気がしたけど多分気のせいだろう。
痛いよぉ
熱い
あついいい
オレはシンに縋り付いて泣く。
シンはオレを折りたたむようにして抱え込み、嬉しそうに叫んだ。
「オレのだ。オレだけのだ。誰にも誰にも渡さない!!!」
その叫びが繋がる中に刺激を与えて、オレは痛くて痛くて泣く。
「キョウちゃん・・・ごめんね、まだ痛いよね」
そう言って涙を指でぬぐうくせに、シンのはまた大きくなるのだ。
中で。
なんでぇ
大きく!!
しないでぇ!!
オレは怒って泣く。
これ以上大きくなったなら、オレは腹の中から裂けてしまう。
怖くて泣く。
泣きながら、顔を押し当てているシンの鎖骨ら辺に噛み付く。
怒っているのだ。
「ごめん ・・・でも可愛いんだよ。仕方ない。たまんねぇ」
シンが呻く。
また大きくなった。
何で泣いてるオレを見て、そのオレに噛まれて興奮してるんだ。
シン、おかしいだろ。
でも。
痛いから安心できるところもある。
痛い
死ぬほど痛い。
でも。
それだけだ。
いや、それだけではない、本気で怖い。
本当に引き裂かれて死ぬんじゃないかと。
こんな大きいの、信じられない。
それは本当に怖い。
でも、結果死んでしまうとしても、それがシンならいいや、とも思ってしまうんだ。
怖いけど。
でも。
オレが怖いのは痛みではなかったから。
シンを噛んで耐える。
シンの肉に歯がくい込んで血が出てるのに何故かシンは嬉しそうで。
「可愛すぎ」
眼を細めている。
息は荒く耐えているけど。
オレは何度も何度もシンを噛んで耐えた。
口の中にシンの血の味がした。
シンはオレの髪を撫でて、じっとしていた。
シンもオレも耐えていた。
そして。
シンが言った。
「キョウちゃん・・・動くよ」
低い唸り声だった。
そしてゆっくり動かれた。
オレは熱くて痛いはずなのに全身から寒けがする、という感覚を知った。
「オレのキョウちゃん。もっとオレに色んなキョウちゃんを見せて?」
シンは抱きしめていたオレから上半身を離していく。
動きが大きくなっていく。
オレの歯形と血の浮いた鎖骨や肩、そして綺麗なシンの顔が見える。
シンの顔を見てオレは悲鳴をあげた。
それは怖いアルファの顔だった。
獲物を喰らう獣の顔。
でも、それはシンで。
オレは怖がり悲鳴をあげても。
シンに殺されるのなら構わなかった。
涎が顔に落ちた。
シンはオレを食おうとしていた。
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