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第37話
ゆっくりシンのペニスが引き抜かれた。
血の気が引くような感覚。
腸壁がゆっくりと逆撫でられるような。
怖くなる。
そして傷口を割開くような痛みがある。
動かないで
痛い
痛いっ
そう泣いてるのに。
シンは食いいるようにオレを見ながら引き抜く寸前でまた押し入ってくる
逆撫でられた腸壁がまたゴリっと動かされるのが分かる。
痛い
痛い
オレは顎を反らし、背を反らし、悲鳴をあげているのに、シンはそれを見て喉を鳴らす。
「可愛い・・・」
シンの呟きは泣いてるオレに酷いことをしている人間がするものじゃない。
でもシンも耐えてる。
汗が滴り落ちてくる。
我慢して、唸りながらゆっくり、ゆっくり動いている。
そうしているうちに、中がシンに絡みだすのが自分でもわかる。
でも痛いから逃げようとしてしまう、が、腰を抑え込まれ、何一つオレを見逃すつもりはないシンの視線に晒される。
だらしなく開いたままの口、零れる涎、とまらない涙。
全て見られている
シンは繋がるそこさえ満足そうに見ている。
開ききり、シンのを咥えこんているそこを
ぐちゅ
ぐちゅ
たっぶり注がれたローションの水音が響く。
そうして何度もゆっくり動かれて、あの指で擦られおかしくされた場所をめいいっぱい広げられたシンので擦られた瞬間、それは来た
ひいっ!!
びくん
ぴくん
大きく身体が跳ねた。
叫んだことさえ分からないような衝撃だった。
痛みを忘れたが、それが痛みよりマシだったわけではない。
目を見開き泣くのを忘れて驚いているオレの上で、シンが笑った。
凶悪な微笑み。
その顔の意味がわかった。
お願い
お願い
無理
おれは無駄な懇願をした。
もうわかってるのに。
「キョウちゃん。もう痛くないからね。気持ち良くならうね」
シンが甘い声で、でも恐ろしい顔でいう。
目だけがギラギラしていた。
いやだ
いやいやいや
いやだぁ!!
オレはそう言ったのに。
シンは逃がさないようにオレの腰を掴むと、オレが感じてしまったソコを執拗に苛めはじめたのだった。
焼けた金属バットで殴られるみたいだった。
灼熱の杭で突き刺されるみたいだった。
痛みの方がマシだった。
熱が刺さり
硬く焼かれ
割かれながら貫かれた
だけど。
痛みじゃないことこそが恐ろしかった。
あひぃ
ひぎぃ
痙攣し、叫び続けた。
限界まで広げられた中からそこを擦られ、抉られる度に感じるのは指でされた感覚とは比べられないもので。
身体がバラバラにされらような、脳みそが弾けて溶けてぐちゃぐちゃのゼリーになるようなものだった。
体もドロドロの塊みたいになって、それをさらにぐちゃぐちゃにされてて。
そこだけじゃない、穴の他のところでまで感じるようになってきて。
「ああ、もう、精液も垂れ流してるね。気持ち良いんたまね、可愛いよ、可愛いよ、キョウちゃん」
シンが言ったが、射精したことすら分からなかった。
いつ勃起したのかもわからなかった。
ひいっ
あひぃ
うくぉぉお
獣の悲鳴のような声。
もうどんな顔をしているのかもわからない。
身体の狂ったような感覚とは別に、どこかでオレは意識を切り離していて。
そんなのたうち喚く自分を少し離れて見ていた。
限界を超えると精神が乖離するってのがこれか、とどこか冷静に思った。
「可愛い。可愛い・・・もっとおかしくなってよ、ね?ここも好きでしょ」
シンが角度を変えて突いてくる。
そこから拾い上げられる感覚はまた違うものだ。
地獄のような快楽には限度も種類も終わりもないと知らされる。
あがっ
あひぃ
ひいい
哀れに悲鳴をあげて震えるオレはヨダレを垂らし、目を見開き、顔を歪めて醜いだろう。
なのにシンは言う。
「可愛い・・・可愛い・・・オレのキョウちゃん!!」
シンは動くのを止めない。
でもシンが耐えてるのはわかる。
飢えた獣が、血まみれの獲物の血を舐めているだけで、肉に食らいついてはいないのが。
でもシンは。
幸せそうで。
それはわかった。
おかしくなって泣きわめいているオレにはわからなくても。
乖離しているオレにはわかった。
シンは幸せなのだ。
死ぬ
死ぬ
死んじゃう
オレが叫ぶ。
「殺さない、殺すもんか。ずっとずっとオレだけのキョウちゃんだ」
嬉しそうにシンが言う。
俺が狂う度、シンは幸せになる。
角度を変え、深さを変え、オレを狂わせて、シンは微笑む。
サディスティックではあっても。
これは確かに愛なのだ。
シンにはもの足りなくても、シンにはもうそこはどうでも良いのだ
「出すよ」
シンがやっと言ってくれて、一番奥に出された。
その時はシンも確かに震えてて、確かにそこに快楽はあって。
乖離しているオレは嬉しくて、でも抱かれているオレは出されたことにまた深く追い詰められた。
オレはオレの意識が無くなるのを感じた。
オレも乖離出来なくなる。
だから、消え去る前に言った。
ドロドロになってぐちゃぐちゃになったオレの身体で
「愛してるよ、シン」
そして、オレも意識をうしなっていく。
「・・・そんなこと言うなよ・・・殺しちまうだろ」
シンの声が聞こえたけど。
シン。
お前はオレを殺さないよ。
オレを愛してるもんな。
オレは安全な眠りの中に沈んだ。
もう大丈夫。
シンがオレを抱きしめて寝るだろう。
そこは殺されるように抱かれたあとではおかしく思えるかもしれないけれど、世界で一番安全な場所なのだ。
愛してるよ。
シン。
そこだけは間違いない。
こんな夜が何度も何度もあるとしても。
愛してる。
愛してる。
オレのだ。
オレだけの、シン。
オレは意識を眠りに溶かしていく。
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