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第38話

「ベータ相手にやりすぎるな、と言っただろ」 なんか声がする。 ユキ先生の声だと思った。 誰かがオレの手を握ってる 薄く目を開けた。 「・・・・」 誰かが項垂れている。 シンがユキ先生におこられてるんだな、とわかったから目を覚ます。 「・・・大丈夫です、先生。オレは」 オレは目を開けてそういったが、身体が動かない。 オレの手を握ったまま泣いてるシンと、怒った顔の先生。 「・・・初めてのベータ相手にコイツ三回もしてるんだぞ」 ユキ先生に言われたけと、オレは1度しか覚えてない。 シンに挿れられ、中に出されたあの凄まじい一回だけた。 ええ。 あの後もしてたの。 驚いた顔から先生も悟ったらしい。 「気を失ってもやり続けたんだろ。このクソアルファ」 先生の顔は苦い。 オレも驚く。 あのあと2回も? オレ安心して信頼して気絶したんですけど。 窓の外が夕暮れになっていておどろいた。 オレはどれくらいで寝てたんだろ。 そしてどれくらいセックスしてたんだろ。 聞いたら次の日の夕方だった。 なんだが夢みたいな話だけど、夢じゃない。 身体のあちらこちらに克明に残る感覚があるし、痛みもある。 何より身体が重くて動かない。 「まあ、コイツ、 医師免許もあるからキョウ君の身体の状態は把握してたんだろうけど、キョウ君が起きる前に怖くなってオレを呼んだんだよ」 ユキ先生は怒ってる。 まあ、オレのために怒ってくれてくれてるんだから有難い。 シンいつのまに医師免許って・・・まあ、アルファならそれほど驚く話じゃない。 アルファの13歳は成人扱いだし。 アルファは11歳の身体を作り替えられる時に、もう必要な大まか知識すら得てしまうのだ。 全アルファ共通の記憶というものがあるらしい。 アルファの本能とその能力は結びついている。 アルファは全ての規格が違うし、オメガともベータとも全く違う生き物なのだ。 シンが怖がっていた。 でも、何が怖い? オレが死にかけてるんじゃないなら何が怖い? オレは不思議そうにオレの手を握りしめたまま、ベッドの横に膝まずいているシンを見つめた。 シンはしっかりオレの手をにぎってる。 でもオレを見ようとはしない。 その手が震えていた 「・・・キョウちゃん・・・ごめん・・・」 震える声が言った。 「もしも、シンとしたことで何かショックがあるなら話を聞くよ。その為に呼ばれたからね。カウンセラーとして」 ユキ先生は言った。 シンは。 オレがシンとセックスしたことで何かしら精神的ショックを受けて傷になってないか心配になったらしい。 「大丈夫です。・・・大丈夫だよ、シン」 オレはユキ先生にもシンにも言った。 身体が変えられたことにはショックはある。 あんなに感じてしまう身体に。 またアレをすることの怖さもある。 でも。 オレにはシンが必要で。 シンとのセックスも必要なのだ。 アレはオレ達を繋ぐものだから。 にしても。 あの後2回もしたのか??? 「キョウちゃん・・・ごめんなさい・・・」 でもその声に怒られることをしてしまって、震えながらオレに謝る幼い日のシン見てしまったから、もう怒れない。 「大丈夫だから、シン」 オレは慰めるように手を握り返した。 シンがやっと顔をあげて。 その顔にやはり幼いシンが見えて、オレは微笑んでしまった。 「オレは大丈夫。大丈夫だから」 またシンとセックスがあることが怖くても、それでもオレは・・・。 シンと離れることなんて有り得ない 「壊れないよオレは」 オレはハッキリ言った。 壊れてたまるか。 オレは壊れない。 オレこそがオレとシンだけが住む、小さな部屋なのだから。 「キョウちゃん・・・」 シンが震える声で言う。 どんなスゴイ、デカイ、アルファになろうと、オレが守ってやらないといけない小さなシン。 オレのシン。 オレだけの。 お前が連れて来られた日から、オレこそが救われた。 この世界に俺が必要だと思ってくれる存在があると知ったから。 オレは壊れない。 お前を守る。 守り続ける。 これからも。 ずっと。 「もう少し寝てなさい。シンが点滴打ってくれるから」 ユキ先生の優しい声がして、オレは頷いた。 そしてオレはふたたび眠ったのだった。

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