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第46話

「シン、アイツはたしかに僕の【番になりたい】という申し込みは断ってたよ。あんな風に触られたのもあの時だけだ。でも、アイツが学園の他のオメガに手を出してなかったとでも思ってるの?」 オメガが綺麗な顔を嫌悪で歪めた。 その言葉に突き落とされたような気持ちにはなる。 それは心の中のどこかにずっとあったから。 シンがオメガを抱いてないなんて何で言える? アルファにはオメガが必要なのだ。 そんなオレを見てオメガは気の毒そうな顔をした。 わるい子ではない、のだ。 オレを憎んでも当然だろうし、実際、憎んでいるのかもしれないけれど。 「アルファが忠実なのは番のオメガにだけ。それも自分のためだよ結局は」 吐き捨てるようにオメガがいう。 このオメガもアルファを憎んでいる。 ユキ先生もそうだけど。 もしかしたら全てのオメガはアルファを憎んでいるのかもしれない。 オメガが誰のためだけに存在するのかは明らかに明確だから。 オメガも本能に縛られるけれど、アルファほど本能に生きてるわけじゃない。 アルファは生きること全てに本能が深く関わっている特殊な生き物だからだ。 オメガの方が葛藤はあるのだろう。 「ぶっちゃけるけど、シンは誰かの番になるのは断ってたけよ、でも、抱けるオメガは抱いてたよ。抱けるオメガだったら誰だって」 オメガはそれをぶちまけることに迷わなかった。 オレがそれを聞く必要がある、と思っていたのだろう。 「週末、【家】に帰る前には絶対してた。好きなベータがいて、そのベータに手をださないためにしてるんだって自分で言ってた。それでも抱かれたい子はいて、その子達はシンに好きなように使われてた。僕は【番】になって欲しかったから、それには参加しなかったけど」 オメガの言葉が突き刺さる シンはあの頃。 オメガを抱いてから帰ってきていたのだ。 「人助け」だと思って、シンとオナニーし合っていた頃、シンはオレとオメガの身体を比べていたのだろうか。 今でも、抱いてきたオメガ達と比べているのだろうか。 ああ、ダメだ そんなつらい つらい 「そんなこと、ない、とは言わないんだね」 オメガはむしろ同情的に言った。 「あんたはベータだ。アルファやオメガとは違う。オレ達に巻き込まれることはない。自由に愛せて自由に生きれる。逃げた方がいい。ずっと思ってた。シンが何かなのかわかってからはずっと。シンは【最悪】だ。あんたは【逃げ】た方がいい」 オメガの言葉は真剣だった。 オレは。 オレは。 目眩がする 学園のオメガに触ってきた手で触れられたこととか。 色んなことが頭の中で煮えたぎる。 オレの身体とオメガの身体、どちらが気持ちいいかなんて明白で。 でも、どっちも抱かずにはいられないのか。 オレのとオメガのを較べたりとか? ダメだ。 ダメだ。 ものすごく汚い考えしか出てこない。 なにも考えられない。 今までの現実が崩れおちていく。

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