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第55話
【シン】
「キョウ君は辛いことに耐えることに関してはプロだからね。サバイバーだ。耐えて自分を守るやり方は知ってる」
先生の言葉は分かってたはずだった。
キョウちゃんはどんな痛みにも耐える。
笑顔で。
だからこそ、1ミリの傷も与えたくなかったのだ。
キョウちゃんはもう自分なんか守らなくていいのだ。
何も考えずに笑っていたら良いのだ。
キョウちゃんはもう沢山傷付いて、その中でオレを守り、自分を守ってきたのだから
そのために。
キョウちゃんを傷付けないために。
オレはありとあらゆる手を使ってきたのに。
「お前が大人しく【弟】ボジションで満足してたら問題なかったんだよ。アルファという化け物のくせにベータを愛したりするから」
先生の言葉は辛辣だったが、それだけは出来ない話だった
「キョウちゃんはオレのだ。誰にも渡さない」
コレだけがオレの本心だ
優しい優しいキョウちゃん。
オレを愛してくれたキョウちゃん。
閉じ込められた部屋はむしろオレには楽園だった。
母親?
要らない
父親?
とうに忘れた。
友達?
アルファに友達などいない。
キョウちゃん。
キョウちゃんだけが欲しい。
「その結果がコレ、だよ。キョウ君はお前の手の届かないところへ逃げてしまった」
先生は綺麗な側の顔を歪めて笑った。
殺してやりたい殺意が湧くが、先生はキョウちゃんに必要だから殺さない。
ムカつくが、必要なのはどうしようもない。
キョウちゃんと生きる為に。
先生の替えなど、中々ないのは分かってる。
「で、こんな状況でもするんだろ?クソアルファ」
でも先生にさらに煽られ、ムカついた。
その通りだったからこそ。
殴っても良かった。
アルファが殴っても、そう簡単に死なないのがオメガだ。
オメガはアルファよりも強靭な肉体を持つから。
でも。
殴る代わりに服を破いてズボンを引き下ろし、もう濡れてたそこにぶち込んだ。
そこは乱暴に突き立ててもオレを美味そうに飲み込んでいく。
甘い締まりに思わずうめいてしまう。
ああっ
んんっ
先生が甘く鳴いた。
先生は発情期だ。
オレを煽ったのも一刻も早くも早く犯して欲しいからだと分かってた。
濡れて欲しがるそこが絡みつき求めてくるのがわかる。
オメガの。
アルファを求める孔だ。
「悦んでんじゃねぇよ、クソオメガ。やりたいのはお前の方だろ!!キョウちゃんのことが無けりゃ、お前なんて」
オレは唸った。
オメガ。
オメガ。
アルファのための孔
オレはアルファが死ぬ程嫌いだ
なりたくてなったわけじゃない
オレの親父のアルファが、死ぬ時にオレの母親であるオメガを腹のオレごと殺していれば、オレはこの世に生まれずにすんだのだ
オメガはキライだ。
アルファ無しではいきられない。
アルファを無くした母親の惨めさ。
そこがキライだ。
だが。
オレの身体は。
オメガの身体を醜いくらいほしがった。
ユキ先生は番がいたので、その発情期のフェロモンにオレが発情させられることはない。
だが。
フェロモンなどなくても発情したオメガの身体は、毒々しいほど甘くて美味かった。
「オメガ無しで・・・いら・・れ・・ないのは・・オマエだ・・・ろ・・・」
先生が涎をたらし、目を剥きながら言う。
頭を掴んで、怒りに叫びながら腹を抉った。
殺したい。
ああ、美味い。
気持ちいい
喰らいたい
気持ちいい。
トロトロなのに、締め付けて、引き裂いて、ぶち抜いているはずなのに、貪るように応えてくる。
あひぃ
ひいいい
発情したオメガが、もっと欲しいと尻を振ってくる。
それにイラつき、揺れる腰を押さえつけ、深くを抉り、そこをぶち破る。
オメガの子宮への道を。
子宮口をこじ開けて、壊すつもりでそこを突く。
ベータの女なら死んでいる。
だけどオメガなら、そこさえ欲しがるようにむしゃぶりついてくるのだ。
あああ
ひぐぅ
ひぎいいい
獣が叫んでる。
オメガという獣が。
喰われるためにいる生き物が
うぉおおぉぉおおお
叫んでるのはオレでもある。
美味かった。
生き物の内臓を生きたまますするみたいに。
熱い熱のある身体を心ゆくまで引き裂いていく。
無理やり奥のそこへねじ込む快楽に脳が痺れる
殺して破壊して、孕ませたい。
そこに何の感情もない。
そこで射精した。
どうしようもない飢えがやっと満たされる。
でも。
まだ足りなかった。
「可哀想・・・な・・・キョウ・・く・・ん」
ユキ先生がその名を出したから。
オレは怒ってさらに先生を串刺しで殺すために抉り、それはさらにこのクソオメガを悦ばせた。
ああ。
ムカつく。
殺したい。
気持ちいい
喰いたい
喰わせろ。
殺す
孕ます
「クソ・・・アル・・ファ」
「クソ・・・オメガ!!!」
先生とオレは憎みあい、それでも。
お互いを食い合うしかなかった。
食わなければ生きていけない
キョウちゃんを喰ってしまうわけにはいかない。
キョウちゃんは。
ダメだ。
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