59 / 73

第59話

【シン】 キョウちゃんはニコニコしている。 大学へ迎えに行った帰りだ。 オレは車を走らせていた。 キョウちゃんが嫌がるから、迎えに行く車も国産の目立ない車だ。 キョウちゃんぼんやりとはしているが、大学での生活もなんとかやれてはいるらしい。 でも。 常にぼんやりとしていて、集中力には問題がある。 何より前までは意欲的だった大学での勉強やボランティアへの意欲がほとんとない。 キョウちゃんはオレたちみたいな子供を助ける仕事がしたいと頑張ってきたのに。 オレにはオレたち以外のことはどうでもいいか、キョウちゃんが全てのことに意欲を無くしているのは問題だ。 キョウちゃんが自分の中に逃げてしまったからだと分かってるからだ。 このまま、大学を辞めてバイトも辞めて、ぼんやりオレたちの部屋にいるキョウちゃん、というのはキョウちゃんを独占出来る、と言う意味では最高だが、キョウちゃんがそこには居ないというなら意味がない。 キョウちゃんにはどうあっても、自分の中から出てきて欲しい。 ユキ先生と話していて、キョウちゃんが、キョウちゃんの母親と二人になるような場面になると、こんな感じになっていたのを思い出した。 オレの母親がオレを迎えにきたりして、キョウちゃんが自分の母親と二人になるのがわかる様な場面で。 キョウちゃんは耐えられない場面になったら自分の中に引きこもって耐えることに慣れているのだ、と先生は言った。 キョウちゃんの母親は。 キョウちゃんを精神的に虐待もしていたから。 そうでなければ生きていけなかったのだろう、と。 キョウちゃんから長年話を聴いてきた先生は、キョウちゃんは意識的にそれが出来る、と結論付けていた。 なら。 出てくることも意識的に出来るはずだ。 キョウちゃんはどこへ行くかも聞きもしない。 ニコニコ笑ってる。 キョウちゃんはオレのためにこの残骸を残したのだ。 オレに何されてもおそらく笑うキョウちゃんを。 キョウちゃん。 それはあまりにも酷すぎる。 オレはキョウちゃんの全部しか欲しくない化け物なんだよ。 キョウちゃんの残骸で満足なんかできないんだ。 出てきてよ。 でも。 それでもこれは愛しいキョウちゃんだったから、そこに着いて車を停めた後、助手席のキョウちゃんに思わずキスしてしまった。 唇を重ねるだけのつもりだったのに。 でも、キョウちゃんが自分から口を空けて自分から舌で迎えにくるもんだから。 久しぶりのキョウちゃんの唇だったから。 つい、堪能してしまった。 オレが教えたようにちゃと舌を絡めてくる。 可愛い舌。 甘い唾液をすすり、舌を絡めて甘く噛む。 喘ぐ息が聞こえて陶酔する。 キョウちゃんが感じてる。 オレのキスに蕩けてる。 上顎の弱い所を舐めてやり、舌を噛みながら吸ってやる。 舌も口の中も性器になってしまっているキョウちゃんは久しぶりの舌を入れたキスに、熱く悶えてしまう。 キスで甘くイくのが分かってしまう。 パンツの中で勃起してるだろう。 オレも久しぶりのキョウちゃんだから、止まらなくなってしまった。 それに。 勃起して甘くイってるキョウちゃんがこのままだと可哀想だ。 ズボンの中に手を入れて、可愛いペニスを握ってやる。 ああっ キョウちゃんがオレの口の中で叫んだ。 ちょっと握っただけで射精したのが可愛いかった。 あんなに1人じゃイケなかったのにね。 もう、本当に可愛い。 オレだとすぐイケるんだ? 可愛い。 直前までユキ先生を抱いていて良かった。 でなければ、このまま最後までしてしまったかもしれない。 それくらい久しぶりのキョウちゃんはやばかった。 でも・・・ もう少しくらい。 「もう1回くらい出す?」 甘く聞いてしまう。 キョウちゃんの顔が赤くなる。 ああ、可愛い。 残骸でもこんな反応するなんて。 キョウちゃんので汚れた手、そのままでまた出したばかりのそこを可愛いがろうとした時だった。 「駐車場で何やってんだ。バカ」 冷ややかな声がして、運転席側の窓の隙間からミサキが中を覗き込んでいた。 キョウちゃんが声を上げて驚いて、剥き出しになってるペニスを隠そうとする。 オレもオレの上着を慌ててキョウちゃんに掛ける。 可愛いキョウちゃんを見せて溜まるか。 「時間通り来てやったのに何やってんの」 ミサキは呆れていた。 まあ、それはわかる。 オレもこの予定はなかった。 だが1時間遅れてきても良かったぞ。 「誰?」 不思議そうにオレが被せた上着の隙間からキョウちゃんが言う。 もう平然としてる。 本来のキョウちゃんなら、こんなことになったら1週間以上は口を聞いてもらえないはずなのに。 恥ずかしことをしたのはお前のせいだと。 残骸なのだ。 可愛く、オレの手に感じてくれてはいても。 そしてキョウちゃんはミサキがわからない。 覚えてないのだ。 記憶を消し去っている 「オレの友達だよ」 オレは言った。 友達と言われてミサキが思い切り嫌な顔をした。 さて。 ミサキも来たことだし。 始めるか。

ともだちにシェアしよう!