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第66話
オメガはやはり良かった。
オレが動く度にオメガという海に全身の細胞が浸され染み通るようだった。
アルファの発達した牙をむき出しにして、吠えながらアルファとしてその孔を犯したい衝動に耐えた。
ユキ先生を来る前にぐちゃぐちゃにしておいて良かった。
先生ですら音を上げるくらいに、犯し続けておいて良かった。
でなければ、キョウちゃんの前だというのに獣になって涎を垂らし、項にかぶりつきながら、腹を裂くつもりでミサキを突き上げていっただろう。
でもキョウちゃんがいる。
キョウちゃんが見てる。
だからオレは、あまりの気持ち良さに唸ったし、
「堪んねぇな」と言ってしまったけど。
ゆっくり、だけど動くのを止めることなんて出来ないくらいにその気持ち良さに陶酔してたけど。
耐えた。
キョウちゃんの目を見る。
ああ、キョウちゃん。
透明だね、まだここにいないの?
ほら、【キョウちゃんのシン】がオメガで楽しんでいるのに、止めなくていいの?
ゆっくり、でも突き当たりをしっかりと突いた。
全ての襞が舐めるようにペニスに絡みつくのを楽しみ、突く度に締まり絞るのを堪能した。
ゆっくりだが、でも大胆に動いた。
キョウちゃんの繊細な穴でこんなことをしたら裂けてしまうような動きを。
あひい
あがっ
きひぃぃぃぃぃぃ
ミサキは獣になって鳴いている。
舌さえダランと口の外にたらしたまま叫び、オレの腕に爪を建てるほどしがみつき、真っ赤なやらしい口の中をさらけ出してる。
赤い口の中に興奮した。
どうせここも性器なのだ。
キョウちゃんがオレを止めないなら、ここまで犯してやる。
オレがキョウちゃんの口の中を丁寧に開発したのとは違う。
オメガは身体の全てが。
アルファのための性器なのだ
可哀想な可哀想な、ミサキ。
可哀想な可哀想な、オメガ。
だが美味い。
そんな可哀想さがスパイスに感じるくらい美味い。
笑って犯してやりたくなるのを止めるのは、キョウちゃんの目があるからだ。
見つめる。
その目を。
オレが知る世界で一番美しい目。
まだそこにキョウちゃんがいなくても、それは美しかった。
そしてその目に見せつける。
キョウちゃんの「シン」が誰かに「奪われて」いるんだよ、と。
取り戻しに来なくていいの?
と。
オレは無意識にミサキの奥をこじ開けていた。
ああ、キョウちゃん
大好きでしょ。
結腸こじあけられるの。
ミサキでしてるよ。
キョウちゃんにしてやるべきことをミサキでしてる。
キョウちゃんなら、今ミサキが感じてる奥を抜かれる感覚がわかるでしょ。
何度も何度も、奥のそこでオレの先っぽにキスしてきたから。
こんなことさせていいの?
【キョウちゃんのシン】に。
オレはキョウちゃんの目を見つめてる。
でも腰は止まらないくらい、オメガの孔は気持ちいい。
剥き出しそうになる牙を堪える。
ミサキにその牙を立てたりはしない。
一方ミサキは完全に堕ちていた。
ぬぐぉぉう
ぐひいいぃ
はひぃ
はひぃ
目を剥き背中を反らしてイクのが止まらなくなってるミサキは醜く、でもだからエロかった。
出してくれ、精液をくれ、と欲しがる孔は、オレを追い詰めてくる。
気持ちいい、いいから獣みたいに叫びたくなる。
唇を噛み締めたえる。
これが毎日。
それがアルファとオメガだろう。
ベータをパートナーにしたアルファのことを、オメガの番をもつアルファ達は不思議がってるだろう。
ベータを抱く遊びは楽しい。
支配欲の満足感はベータの方がオメガよりある。
下手すればオメガ相手だと食われるからだ。
ベータ相手だと、完全に支配欲が満たされ、それが支配欲の塊であるアルファには楽しい。
だから、ベータを抱く遊びをアルファは良くしてる。
だけど、あんなのセックスじゃないだろって、アルファ達は言う。
たしかに。
オメガは美味い。
気持ちいい。
美味い。
だが、こんなの。
どんなオメガとしたって同じだろ。
ミサキが良い証拠だ。
ミサキは毎日、大嫌いな男として、オレ今にされるみたいになってるのだ。
毎日嫌いな男に孔に出して欲しいと願っているのだ。
こんなの。
ただの、本能だ。
どういう理由でまだ残っているのかも分からない、もともとは餌を食べなきゃ死ぬから与えられた食欲みたいなもんだ。
アルファのオレだって。
確かにオメガは喰わずにはいられない。
オメガ無しで生きられないのはアルファの方だ。
こんなの。
違うだろ。
こんなもん。
ちがうだろ。
オレはキョウちゃんの目を見る。
もう大胆に腰を動かすのは止められない。
射精したい。
喰いたい。
でもキョウちゃんを見る。
「キョウちゃん、止めて!!!お願いオレを止めて!!」
オレは泣きなから懇願した。
こんなの。
美味くて、必要で。
きっと死ぬまでオメガを食らう。
楽しみさえする。
でも、キョウちゃん。
キョウちゃん。
キョウちゃんの前で化け物になりたくないんだ。
オレは醜い化け物だけと、キョウちゃんの前でだけ、それを恥じることができるんだ。
「キョウちゃん!!」
オレはキョウちゃんに向かって泣きながら叫んだ。
でもミサキを激しく、でも、ギリギリ獣にならない範囲で突き上げはじめた。
ああ、美味い。
美味い。
獣になりそう。
オレはオメガを、そして、アルファの本能をナメていたことを知る。
オレの中の怪物がメリメリとオレを食い破っていく。
もっと。
もっと。
もっと。
殺すように突き上げ、おもうまま引き裂き、喉に牙を立てながら犯したい。
ダメだ。
バレる。
化け物だと知られる。
嫌だ。
嫌だ。
それだけは嫌だ。
「キョウちゃん!!!お願い止めて!!!」
オレは悲鳴をあげた。
もうダメだ。
ダメだ。
ミサキの頭を押さえつけていた。
そこに牙を立てて、引き裂きながら犯すために。
知られる。
そう思った。
オレが化け物だと。
「キョウちゃん!!!!助けて!!!!」
オレは断末魔のような悲鳴をあげた。
もうキョウちゃんも見れない。
オメガを食う。
食らって満たす。
満たしたい
それだけになる。
その時だった。
「離れろ!!!!」
聞いたこともない怒声がした。
強い。
強い。
怒りに満ちた声。
「ソイツはオレのだ!!」
その声がオレの意識を取り戻させた。
キョウちゃんが怒りに顔を歪めて立っていた。
ニコニコしてない。
それはオレの。
オレの。
間違いなくオレのキョウちゃんだった。
オレは泣いた。
キョウちゃんが。
キョウちゃんが。
オレを助けに。
帰ってきた。
オレはそれでもミサキを激しく揺さぶりながら、キョウちゃんへと顔を向け、顔を歪めて泣いた。
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