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第67話

「離れろ!!」 キョウちゃんが泣きながら怒鳴りながら、こちら飛びかかってくるが、オレはもう止まれるものではなく。  追い上げるためにミサキを突き上げてしまう。 ミサキは舌を突き出し、涎を垂れ流し、目をむき出しにしてイキ続けている。 いいっ いいっ いいよォ・・・ もっとぉぉぉお 泣いて欲しがるのは当然で。 これはミサキの生まれて初めての、自分から望んだ快楽で。 キョウちゃんが目に入らないくらいそれに溺れきっていた。 オレも ここまで来たら出さない限り終われないのだ。 オメガの中に出したい。 その欲望は止められない。 だが、怒り狂ったキョウちゃんがオレやミサキにどんなに殴りかかったところで。 アルファ以上の最高の耐久力を持つオメガと、ベータとは比べ物にならない肉体を持つアルファでは何にもならないのだけど。 でも、まあ、一応ミサキには義理がある。 こうやってキョウちゃんを連れ戻せたのはミサキの協力のお陰だし。 そう思ってとびかってきたキョウちゃんから、ミサキを守るように覆いかぶさったのがキョウちゃんには気に入らなかったらしい。 思い切り顔を殴られた。 キョウちゃんに殴られたのは生まれて初めてで。 オレは流石に呆然としてしまった。 痛みとかダメージとかは全く気にすることはない。 オレからしてみればベータの成人男性など、5歳児と変わらないからだ。 ポカンとしてしまったオレの顔をさらにキョウちゃんが殴りつけてくる。 泣いて怒っていた。 こんなに怒り狂うキョウちゃんは見た事がなく。 それは。 見とれてしまうほど、愛しかった。 キョウちゃんはこんなにもオレが誰かに奪われるのが嫌なのだ。 オレはもういくらでも黙って殴られ続けてやりたかったが、それ以上にもうミサキの中に射精したくてたまらなかった。 限界だった。 だからオレを殴り続けようとするキョウちゃんを、腕を伸ばして抱きしめて動けなくした。 キョウちゃんの動きなど、片腕で抑え込める。 そう。 でも、まだ、ミサキの孔に深々と突き立てたままだ。 キョウちゃんはミサキとオレの間に挟まれるようにオレに抱きしめられ、嫌だと泣き叫ぶ。 でも、キョウちゃんが本当に嫌がっているのは、オレがミサキに挿れてることなのだ。 だが、オレはキョウちゃんを抱きしめたまま、ミサキを突き上げを再開する。 オレがミサキに突き上げるリズムを抱きしめられているから感じて、キョウちゃんは泣き叫ぶ。 「嘘つき!!オレだけって言ったくせに!!やめろよ!!嘘つき!!オレだけって!!!」 キョウちゃんの愛しい声が響くのを、オレは涙を流して喜んだ。 これはキョウちゃんだ。 本物のキョウちゃんだ。 でも、その一方で、オレは片腕でキョウちゃんを抱きしめながら、それでも身体の下で痙攣してる、ミサキの孔を味わっていた。 キョウちゃんの身体を抱きしめる方が【大切】だけど、オメガの孔がくれる快楽は【必要】だった。 とにかく、ここに出さない限り抜けないのだし。 「ごめん・・・ごめんね、キョウちゃん」 オレは心の底から謝りながら、暴れるキョウちゃんのうごきを、さらに簡単に押さえこむ。 そして、キョウちゃんの肌の匂いに泣けるほど安堵し、泣いて怒鳴るキョウちゃんの顔をオレの胸におしつけた。 俺の胸の中で、キョウちゃんが悲痛な声で泣き始めるのが、愛しくて辛くて、愛しくて。 片腕で横抱きにするように抱きしめて、キョウちゃんのその首筋に顔を埋めていても、オレの腰はミサキを抉る最後のスパートを楽しむ。 あひぃ あひぃいいい わけが分からなくなってるミサキが喚いている。 ミサキも感じまくっているのがわかる。 ミサキはミサキで、初めて自分に赦した快楽に溺死しそうになっている。 ああ、お前も可愛そうになミサキ。 無理やりされるんじゃないセックスはいつ出来るだろうな、次は。 だが、とにかくキョウちゃんが泣いていて、オレに傷付けられて泣いていて。 それもぜんぶオレがスキだからで。 そして、キョウちゃんがちゃんとここにいて。 それは幸せだった。 キョウちゃんを逃がさないこと以上の幸せなどなく。 オレは抱きしめているキョウちゃんの頭の天辺にキスをした。 そして、ミサキのその奥にゆっくりオレは出した。 オメガとしたセックスの中で一番気持ち良かった。 キョウちゃんを抱きしめながら使うオメガの孔は最高だと知ってしまったが、これはもう二度としない。 絶対に。 そして、出しながら、動いてその中を味わった。 もう2度とない、キョウちゃんを抱きしめながら使える孔を。 俺に密着させられているキョウちゃんは、その動きを察して、更に怒り泣いた。 「オレの!!オレのなのに!!!」 キョウちゃんが叫んでる。 動きを抑え込まれてしまうことに絶望したのか、もう暴れないが、叫び声だけはさらに尖り悲痛で。 その声にオレは泣きたくなった。 キョウちゃんが傷ついているから。 オレのせいだから。 「そうだよ。キョウちゃんのだよ。キョウちゃんだけけの。ごめんね・・・もう2度としない。しないから」 オレはキョウちゃんを慰めるために嘘をついた。 これからもオメガは喰う。 だが、それは。 絶対にキョウちゃんにバレてはいけない。 そう。 大事なことは。 キョウちゃんはオレが学園のオメガをキョウちゃんの恋人になるまで抱いていたことにショックを受けているが、今もユキ先生を【使って】いることは知らない。 そういうことだ。 身体の下でまだイってるミサキの孔の、その余韻をまだ楽しんでしまっているが、それはキョウちゃんには気付かせない。 また始めたくなるのを堪えて、キョウちゃんを抱きしめたまま、ゆっくり抜いていく。 引き抜かれる感触にミサキが身を捩る。 ミサキももっと欲しいだろうし、オレも辛いが、ここまでだ。 オレは立ち上がる。 ミサキの体液で汚れた身体のまま、キョウちゃんを抱いて。 まだ震えているミサキをベッドに置き去りにしたまま。 そして寝室を出ると、ドアを閉めた。 無かったことにするみたいに。 オレは今では力無く、子供のように泣いてるキョウちゃんを抱きしめながら風呂へと向かった。 子供の頃、泣いてるオレをあやしながらキョウちゃんがお風呂へつれて行ってくれたみたいに。 ああ。 キョウちゃん。 帰ってきてくれてありがとう。 オレは泣いてた。 嬉しくて。

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