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第71話

【キョウ】 オレは目を開けた。 シンの寝顔がすぐそこにある。 オレ達はオレ達の家に帰ってきて。 ただ抱き合って眠った。 子供の頃そのままに。 シンは許してくれなかった。 オレが傷つくことからにげることさえ。 シンを他人に渡したくなかったなら、オメガに渡したくないのなら、どんなに傷付いてもそばにいろ、と脅された。 耐えられなかった。 シンが柔らかく美しいオメガの身体の中で腰を使い、気持ち良さそうに顔を歪めるのを見て。 オレとする時とは違って、我慢が効かないかのように、エグい腰つきで突き上げる姿を見て。 悪く笑ってオメガの中で、あの熱い飛沫を弾けさせている姿を見て。 オメガもシンを欲しがり感じて、オレにはしてやれない位、どこまでもシンの責めを受け入れていて。 二人の間には底なしの欲望があり、二人はオレとは違ってそれを分け合えた。 耐えられなかった シンにはオメガがふさわしいと思い知らされて。 嫉妬で死にそうになった。 それでも渡したくなかった。 自分の中にこんな独占欲があったとは、と思う。 でも。 どんなに辛い思いをしようと、シンを誰にも渡したくなかった。 シンだけはオレのモノだ、そう叫んでいた。 オレの。 オレの。 オレだけの。 仕方なかった。 取り返しに行くしかなかった。 とても辛くて仕方ない。 母親すら愛してくれなかった。 父親すらオレを必要じゃなかった。 シンしか居なかった。 選択肢など。 無いのだ。 「逃げたら、またオメガを抱く」 そう言われたなら。 もう戻るしかない。 こんなに苦しいのに。 でも、奪われたくないのだ。 眠るシンの寝顔を見つめた。 この顔を誰かに見せたくない。 オレだけのものにしていたい。 本当にシンに執着しているのはオレなのだ。 また泣いてしまった。 手放せない。 逃げられない。 こんなに苦しいのに。 他の誰かに渡すなんて耐えられない。 死ぬことも出来ない。 死んだら、誰かに取られてしまう。 オメガに奪われる。 とられちゃう。 シンの胸に顔を押し付けて、泣く。 シンに抱きつきながら泣く。 誰にも渡したくない肉体が、美しいオメガ達の中で楽しんでいたのに傷付いて泣く。 オメガ達程、オレはシンを楽しませてやれないのだ。 アルファに犯されるオメガを見た。 (実際には見てないけど) シンとセックスした後に、あれほど嫌っている番相手でも、あんなに感じてしまうのは悲惨で、でも、でも、アルファとオメガはそれ程求め合うものだということも思い知らされて。 渡したくない。 誰にも。 オレは泣いた。 シンの暖かい身体が辛かった。 この熱を知っているのは、オレだけじゃない。 シンに相応しいのもオレじゃない。 でも。 誰にも渡したくなかった。 泣いてたらシンが目を覚ました。 眠そうだったが、オレを見て悲しげに眉を潜めて、だまって抱きしめてくる。 「泣かないで。もうキョウちゃんだけ。絶対に」 シンは言った。 それを信じるしかないのだ。 それしかない。 「渡さない。誰にも渡さない」 オレは言った。 何をしてでも。 誰にも渡したくなかった。 「うん。誰にも渡さないように、ずっと傍にいて?」 シンが優しく囁いてきた。 その声に泣けて。 でも。 嫉妬が止まらなくて。 オレはシンのパジャマのズボンの中に手を入れて。 シンの巨大すぎるペニスを握ってた。 オレの手にはデカすぎるソレを。 これはオレのなのに。 シンはあのオメガに挿れたのだ。 「キョウちゃん・・・そんなことしなくてもいいんだよ」 慌てたようにシンは言う。 シンはオレのためにセックスをしてる。 それを知ってる。 あのオメガとしたみたいに自分がたのしむためにはオレとはしてない。 オレを感じさせるためだけにしてる。 それが悔しい。 仕方ないと思っているけど。 「うるさい!!」 オレは怒鳴った。 泣きながら。 でも、コレはオレのだ。 オレの。 脈打つそれ両手で扱き始める。 すると自分の中が熱くなるのがわかる。 「キョウちゃん・・・」 それを察したシンがオレに触ろうとするから、オレは怒鳴る。 「ダメだ!!シンは何もするな!!」 オレは必死でシンのを擦る。 シンはピタリと止まって、大人しくなった。 でも。 オレを食い入るように見てる。 シンのその目だけは本当だ。 シンの身体がどれだけ快楽を得ているかなんかオレにはわからない。 オメガとしている時程じゃないだろうと思う。 でもシンがオレを見ている目だけは。 その焼け付くような目だけは本当だと思えた。 どんどん大きくなって硬くなるソレに、欲しくなってしまうのはオレの方だ。 オメガの中で楽しんでたのだと思うのに。 これが欲しい。 だってオレのだ。 オレだけのシンだ。 オレは布団を跳ね除け、シンのペニスへしゃぶりついた。 だってこれはオレのだ。 「キョウちゃん・・・そんなことしなくてもいい」 シンは困惑したように言う。 した事がないわけではない。 シンに指や舌で口の中が気持ち良いことを教えこまれてから、たまにシンに強請られ、口の中でシンのでいっぱいにされたことはある。 でもシンは無理はさせなかったし、口の中で出したり飲ませたりはしなかった。 でも。 だからこそ。 したかった。 だってコレはオレのだ。 「うるさい!!オレのだろ!!」 オレは舐めるのを止めて怒鳴りまた、舐める。 シンは困ったように頭を掻き、でも。 股間に顔を埋めるオレの頭をおずおずと撫でた。 「そうキョウちゃんの。キョウちゃんだけのだよ。オレは」 そう囁かれた。 ウソツキ。 オメガに挿れたくせに、と思ったけれど。 でも。 その言葉しかすがれるモノがなかった。 先を舐めて。 何度も何度もそこに吸い付くようにキスした。 「キョウちゃん・・・気持ち良い」 シンが褒めてくれるのが本当だと思いたかった。 オメガより気持ちいいはずないけど。 デカすぎて顎がはずれそうになるソレを、咥えられるだけ咥えて、必死で動かした。 シンはずっと優しく頭を撫でてくれてて、その余裕に泣きそうになる。 「ここをオレので犯されたいの?」 シンが低い声で聞いてくる。 そこには隠しきれない欲望があって、それに歓喜する オレは涙目で、シンを見上げた。 シンの目は俺を焼く。 焼き殺して欲しかった。 「キョウちゃん。・・・どんだけエロくて可愛いか分かってる?本当に・・・キョウちゃんだけだよ」 シンは唸った。 そして、オレの頭を押さえつけ。 オレの喉を犯してくれた。 それはとても苦しくて。 窒息してて でも。 それは初めての優しいだけのシンじゃないから。 嬉しかった。 それでも、手加減しているんだと分かっていたけど。 オレに耐えられる範囲なんだと知ってたけど。 シンがコントロールしなければ、オレは死ぬんだと分かってたけど。 でも。 この苦しさが嬉しかった。 溢れて溺れる位に出されて。 それをむせながら飲んでも。 それが嬉し過ぎて、オレも射精していた。 「信じらんねぇくらいエロい。マジか。オレのためだけにこうなってくれたんだ・・・キョウちゃんエロい・・・エロすぎ・・・」 シンに抱きしめられていた。 「キョウちゃん。これからはキョウちゃんしか抱かない。いいね?」 シンに言われた。 それはシンから逃げないという強迫だった。 でも。 それしかなかった。 オレはシンの手を振り払い、またシンのを舐める。 しゃぶり、咥えて。 また舐めて。 扱き、またしゃぶる。 シンは好きにさせてくれていた。 「そんなにオレが好き?」 嬉しそうなのに、腹が立つ。 だってそうだから。 「オレもキョウちゃんが好き。キョウちゃんだけ」 髪を撫でながら言われる。 その言葉に泣いた。 信じる。 信じるしかない。 シンがまた喉を犯してくれた。 その苦しさを愛した。 溺れるような精液に耽溺した。 その味を求め、出された後も吸い上げた。 しゃぶるのを止めたのはシンに穴に指を挿れられたからだった。 もっとする、と泣いて言ったのに。 「ここでも飲んで」 そうシンに囁かれたなら。 もうどうしようもなかった。

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